服薬指導に活かす医薬品情報

リフヌア錠45mg(一般名:ゲーファピキサントクエン酸塩)

ここがポイント!

  • 世界初の選択的P2X3受容体拮抗薬。ATPシグナル伝達遮断により、咳嗽を抑制する。
  • 適応症は、難治性の慢性咳嗽。
  • 味覚関連の副作⽤発現割合が60%を超える。
  • Q

    【何のお薬?処方目的は?】

    A

    リフヌア錠は、世界で初めて承認された選択的P2X3受容体拮抗薬です。
    P2X3受容体は、気道の迷走神経のC線維上にみられるATP依存性イオンチャネルです。


    ATPは炎症条件下で気道粘膜細胞から放出され、P2X3受容体へ結合します。
    C線維による侵害シグナルとして感知され、咳嗽反射を惹起させると考えられています。リフヌア錠は、P2X3受容体を介した細胞外ATPシグナル伝達の遮断により、感覚神経の活性化及び咳嗽を抑制します。

    適応症は「難治性の慢性咳嗽」です。


    咳嗽は発症からの期間により、急性咳嗽(3週間未満)、遷延性咳嗽(3週間以上8週間未満)、慢性咳嗽(8週間以上)に分類されます。


    急性咳嗽の原因の多くは気道感染症ですが、慢性咳嗽では、感染症以外の原因であることが多くなります。原因の治療を行っても咳が続く状態、もしくは長引く咳の原因が分からない状態を「難治性の慢性咳嗽」といいます。


    体力を消耗する、人目が気になる、眠れない、仕事や家事に集中できないなど様々な困りごとにつながることがあります。


    なお、難治性の慢性咳嗽の病態として「咳過敏症候群(CHS:cough hypersensitivity syndrome)」という新しい概念も提唱されています。「低レベルの温度・機械的・化学的刺激を契機に生じる難治性の咳を呈する臨床的症候群」と定義されます。


    遷延性・慢性咳嗽の各原因疾患に特徴的(特異的)な病歴
    原因疾患 病歴
    咳喘息 夜間~早朝の悪化(特に眠れないほどの咳や起坐呼吸)、症状の季節性・変動性
    アトピー咳嗽/喉頭アレルギー(慢性) 症状の季節性、咽喉頭のイガイガ感や搔痒感
    副鼻腔気管支症候群(SBS) 慢性副鼻腔炎の既往・症状、膿性痰の存在
    胃食道逆流症(GERD) 食道症状(胸やけなど)の存在、会話時・食後・起床直後・就寝直後・上半身前屈時の悪化、体重増加に伴う悪化、亀背の存在
    感染後咳嗽 上気道炎が先行、徐々にでも自然軽快傾向(持続期間が短いほど感染後咳嗽の可能性が高くなる)
    COPD、慢性気管支炎 現喫煙者の湿性咳嗽
    ACE阻害薬による咳 服薬開始後の咳
    咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019(日本呼吸器学会)を参考に作成

    Q

    【用法・用量は?】

    A

    通常、1回45mgを1日2回経口投与します。食事とは関係なく投与可能です。
    飲み忘れた場合は、次の服用時間に1回分を服用し、2回分を一度に飲まないようにする必要があります。

    Q

    【使用上の注意点は?】

    A

    スルホンアミド系薬剤(グリメピリド、トリクロルメチアジドなど)に過敏症の既往歴のある患者は、交叉過敏症があらわれる可能性があるため注意が必要です。


    重度腎機能障害(eGFR 30mL/min/1.73㎡未満)で透析を必要としない患者は、1回45mgを1日1回投与とします。
    高齢者では、腎機能に注意しながら、必要に応じて用法及び用量を調節します。

    Q

    【主な副作用は?】

    A

    苦味や金属味または塩味がする、味を感じにくい、食事がおいしくなくなった、などの味覚に関する障害がおこることがあります。
    味覚関連の副作用(味覚不全、味覚消失、味覚減退、味覚障害)の発現割合は63.1%です。


    大多数は、投与開始後9日以内に発現、軽度又は中等度であり、投与中又は投与中止により改善しました。
    味覚関連の副作用は曝露量依存的に増加する傾向が認められています。
    その他の主な副作用は、悪心、口内乾燥(いずれも5%以上)などです。


    (2024年10月20日時点)

    掲載日: 2025/07/17
    ※医薬品情報は掲載日時点の情報となります

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