服薬指導に活かす医薬品情報

ビルタサ懸濁用散(一般名:パチロマーソルビテクスカルシウム)

ここがポイント!

  • ・高カリウム血症治療薬。非吸収性の陽イオン吸着ポリマーで、ナトリウムを含まない
  • ・1日1回投与、増量間隔は必ず1週間以上あけて1包ずつ。低カリウム血症や腸閉塞に注意
  • ・原則冷蔵庫(2~8℃)で保管。室温で保管する場合は3ヵ月以内に使用する

Q

何のお薬?処方目的は?

A

適応症は「高カリウム血症」です。球形ビーズ状で、陰イオンポリマー(本剤の活性本体パチロマー)とカルシウム-ソルビトールとの対イオンで構成される非吸収性の陽イオン吸着ポリマーで、主に大腸管腔内でカリウム(K)イオンを捕捉します。効果発現が緩徐であるため、ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム(ロケルマ)と同様、緊急の治療を要する高K血症には使用できません。


Q

用法・用量は?どんな味?

A

通常、パチロマーとして8.4g(1包)を開始用量とし、1日1回経口投与します。以後、血清K値や患者さまの状態に応じて適宜増減しますが、増量する場合は1週間以上間隔をあけて8.4gずつ、最高用量は1日1回25.2g(3包)です。投与開始時及び投与量調整時は、1週間後を目安に血清K値を測定します。

無味無臭で、1包を服用する場合は約40~80mLの水に懸濁しますが、常温や冷蔵であれば、水以外のお茶やジュース等の飲食物に懸濁してもかまいません。

ただし本剤は溶解しないため、懸濁後は沈殿する前に飲み切ること、コップ等に残ってしまった場合は水を追加して飲み切るよう指導しましょう。


Q

高K血症とは?他のK吸着薬との違いは?

  A

高K血症は、血清K値が正常3.5~5.0mmol/Lよりも上昇した状態で、腎不全の他、心不全や糖尿病の患者さま、RAS阻害薬など血清K値を上昇させる薬剤を投与中の患者さまにも見られます。

軽度の場合、服用薬剤の調整や薬物治療、食事制限などを行い、中等度~重度で急速に血清K値を下げる必要のある場合はグルコース・インスリン療法や血液透析を行います。

薬物治療にはK吸着薬を使用しますが、パチロマーはナトリウムを含まないため、食塩制限などが必要なCKDや心不全の患者さまにも有用です。また1日1回投与のためアドヒアランスの向上も期待できます。


Q

禁忌は?主な副作用は?

A

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者さま、腸閉塞の患者さまには投与禁忌です。

併用禁忌の薬剤はありませんが、ニューキノロン系抗生物質(シプロフロキサシン等)や甲状腺ホルモン製剤(レボチロキシンNa等)、メトホルミンとは併用注意です。

ニューキノロン系抗生物質・甲状腺ホルモン製剤は本剤に含まれるカルシウムと消化管内で難溶性のキレートを形成、メトホルミンも消化管内で本剤と相互作用を起こします。

いずれの薬剤も吸収が低下し効果が減弱する可能性があるため、併用する際は3時間以上あける必要があります。処方監査・服薬指導時には、併用薬と服用時点をよく確認しましょう。

重大な副作用として、低K血症(4.6%)、腸管穿孔、腸閉塞(いずれも頻度不明)があり、その他の副作用には、便秘(14.5%)、下痢、腹部膨満、低マグネシウム血症などの報告があります。服薬指導やTFの際は、排便状況の他、お腹の張り、吐き気、手足に力が入らない等がないか確認すると良いです。


Q

使用上の注意点は?

A

原則冷蔵庫(2~8℃)で保管します。患者さまが保管する場合は室温(1~30℃)で保管することも可能ですが、その場合、3ヵ月以内に使用することとなっています。

(2025年6月20日作成)


掲載日: 2025/10/29
※医薬品情報は掲載日時点の情報となります

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