ターゼナカプセル0.1/0.25/1mg(一般名:タラゾパリブ)
ここがポイント!
- ・複数の規格があるため調剤時に注意、前⽴腺癌・乳癌で使⽤する規格が異なる
- ・前⽴腺癌で使⽤する場合はエンザルタミド(商品名︓イクスタンジ)と併⽤する
- ・中等度の腎機能低下で投与量を減量する、副作⽤では⾻髄抑制(特に貧⾎)に注意
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Q |
何のお薬?作用機序は? |
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A |
前立腺癌と乳癌に用いられる薬剤で、適応症は「BRCA遺伝子変異陽性の遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺癌」と「がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌」です。 タラゾパリブはPARP阻害薬で、オラパリブ(商品名:リムパーザ)、ニラパリブ(商品名:ゼジューラ)に続く、本邦で3剤目の薬剤として発売されました。 PARP(パープと呼ばれています)とは、ポリアデノシン5'二リン酸リボースポリメラーゼ(poly ADP-ribose polymerase)のことで、DNA修復に関わる酵素です。相同組換えができない癌細胞(BRCA遺伝子変異のある腫瘍細胞)ではDNA複製時の二本鎖切断を修復できないため、PARPを阻害すると細胞死が誘導され、抗腫瘍効果を表すとされています。 これらの作用機序から、事前にコンパニオン診断(遺伝子検査)にて、「BRCA遺伝子変異を有すること」を確認する必要があります。また前立腺癌に使用する際は、エンザルタミドを併用します。なお、本剤はオラパリブと異なり乳癌術後薬物療法の適応はありません。
※eGFR 30mL/分/1.73㎡以上、60mL/分/1.73㎡未満 |
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Q |
用法・用量は?使用上の注意点は? |
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A |
この薬剤には3つの規格があり、また適応症により使用する規格が異なるため注意が必要です。 通常、成人には1日1回で内服投与し、患者の状態により適宜減量します。 重度の腎機能障害のある患者には投与を避け、中等度の腎障害患者では開始用量を減量します。 1mgカプセルと0.25mgカプセルの生物学的同等性は示されていないため、1mgを投与する際に0.25mgカプセルを使用することはできません。ちなみに前立腺癌の治療時に併用するエンザルタミドも1日1回の投与方法です。 |
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Q |
投与禁忌・相互作用・主な副作用は? |
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A |
併用禁忌薬はありません。本剤はP-糖タンパクの基質であるため、P-糖タンパク阻害薬(イトラコナゾール、クラリスロマイシン等)との併用で、本剤の血中濃度が上昇する可能性があり、併用注意となっています。これらの併用は可能な限り回避します。 他診療科の併用薬剤に注意しましょう。重大な副作用は骨髄抑制、間質性肺炎、血栓塞栓症などが報告されています。副作用で特に多いのは骨髄抑制で、貧血(57.3%)、好中球減少(35.0%)、血小板減少(24.6%)、白血球減少(20.3%)などとなっています。その他の副作用として、疲労・無力症(43.8%)、悪心(24.5%)、食欲減退(10%以上)があります。 発生頻度の高い貧血に注目すると、投与開始から6ヵ月未満での発生が60%以上です。 この時期は積極的に患者情報の収集にあたってください。国際共同第Ⅲ相試験の有害事象発現調査では、貧血のグレード3以上の発生が高頻度(40%以上)なため要注意です(ここでのグレード3は、ヘモグロビン<8.0g/dL)。 顔色が悪い、易疲労感、倦怠感、頭重感、動悸、息切れなど、服薬指導時に注意喚起を行い、またTF時には、貧血のほか、感染症や出血、発熱、手足のしびれ等の発現がないか確認してください。 妊娠する可能性のある女性に投与する場合、本剤投与中及び最終投与後7ヵ月間において避妊する必要があります。なお、曝露防止のため、脱カプセルや簡易懸濁はしないでください。 (2025年5月15日作成) |
※医薬品情報は掲載日時点の情報となります
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