服薬指導に活かす医薬品情報

オノンカプセル

Q

何のお薬?処方目的は?

A

適応症は上述の通り「気管支喘息」「アレルギー性鼻炎」です。特にアレルギー性鼻炎に対しては三大主徴すべてに対して効果を示しますが、中でも即時相および遅発相における鼻閉を改善し、その効果は第2世代抗ヒスタミン薬よりも優れているのが特徴です。保険適応外ではありますが、アレルギー性紫斑病に用いられるケースもあるようです[質疑応答(医薬)No.1319参照]。また、本剤はすでに起こっている喘息発作を緩解するものではないため、このことは患者さまに十分説明する必要があります。長期にわたり投与される可能性がありますが、効果が認められないまま漫然と長期投与されないよう、効果の有無をきちんと確認してください。


Q

作用機序は?

A

本剤はロイコトリエン受容体に選択的に結合します。気管支喘息では、ロイコトリエンは基本的病態形成に深く関与しており、プランルカストは気道収縮反応、気道の血管透過性亢進、気道粘膜の浮腫及び気道過敏性の亢進を抑制します。一方、アレルギー性鼻炎において、ロイコトリエンは鼻閉・鼻汁・くしゃみの三大主徴の成立に重要な役割を演じていることが示唆されており、プランルカストは鼻腔通気抵抗上昇、好酸球浸潤を伴う鼻粘膜浮腫、鼻粘膜過敏性を抑制するとともに、鼻粘膜過敏性抑制作用も示します。


Q

飲み忘れはないか?

A

本剤の効果は服用継続1~2週間ほどで現れ、連続服用で症状改善率が上昇します。また、毎年症状が強い症例においては症状出現の有無に関わらず花粉飛散開始と同時に本剤の服用を開始する初期療法を行う場合もあります。特に服用開始時は自覚症状の改善が実感できないことで、そして初期療法時は自覚症状がもともとないことでコンプライアンスの低下が起こりやすくなるため、患者さまに継続服用の重要性をきちんと伝えましょう。


Q

服用方法は?飲み忘れたら?

A

添付文書には「食後服用」とありますが、これは食後服用の方が吸収率が高く、より効果的に服用できるためです。とはいえ空腹時でも、吸収率の低下は見られるものの服用できないわけではありませんので、飲み忘れたら食後でなくても気づいたときにすぐ服用してもらってください。ただし、1度に2回分服用してはいけません。目安として、次の服用と5時間以上間隔が空いていれば服用は問題ないとされています。

Q

注意すべき副作用は?

A

人によっては吐き気や腹痛、胸やけ、下痢を起こすことがありますが、副作用は比較的少ないとされています。重大な副作用としてはショック・アナフィラキシー様症状、肝機能障害、血小板減少、白血球減少、間質性肺炎、横紋筋融解症などの報告があります。長期継続服用となる場合は定期的な検査を促すとともに、副作用の初期症状を患者さまに情報提供し、思い当たる症状がある場合にはただちに受診するように指導しましょう。

Q

ガイドラインでのオノンの位置づけは?

A

オノンをはじめとするロイコトリエン受容体拮抗薬は、以前は抗アレルギー薬の中に含まれていましたが、現在のガイドライン(アレルギー疾患診断・治療ガイドライン2010)では他の抗アレルギー薬から独立して基本治療のひとつとして扱われています。喘息治療では治療ステップ1~4の全ステップで用いられることがあり、アレルギー性鼻炎(花粉症)においては初期療法と中等~重症の鼻閉が見られる症例に用いられます。



喘息合併例でのアレルギー性鼻炎の管理

最近は生活習慣や環境の変化で、アレルギー性鼻炎の患者さまでは喘息を高頻度に合併しており、その頻度は小児では50%以上、成人では44~68%とされています。アレルギー性鼻炎は喘息発症の危険因子であるため、アレルギー性鼻炎の適切な管理は喘息のコントロールにおいても重要です。

その際、第1世代の抗ヒスタミン薬は喘息を悪化させると共に、成人では有効性が低く中枢神経抑制症状や口渇などの症状に注意が必要となります。その一方で、オノンなどのロイコトリエン受容体拮抗薬は鼻閉型のアレルギー性鼻炎に効果を示すと同時に、喘息の長期管理にも高い有用性を示します。同じ気道アレルギーと して鼻症状と気管支症状それぞれを結び付けて情報収集し、症状コントロールをフォローしていくことが大切です。


掲載日: 2023/07/13
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