- 公開日:2025.09.25
【例文あり】調剤薬局への転職、志望動機はどう書くの?コツやポイント、ダメな例も紹介

調剤薬局への転職活動において、志望動機も選考結果を左右する大きなポイントになります。
しかし、「どんな内容を盛り込めばいいのかわからない」と悩む薬剤師の方も少なくありません。
この記事では、調剤薬局が求める人物像や採用担当者の視点を踏まえ、例文を交えながら志望動機の書き方や伝え方を解説します。
具体的に調剤薬局への転職を考えている方だけでなく、これから転職活動を始めようとしている方も、志望動機を考える際のポイントを紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
- 【店舗形態別】調剤薬局の働き方と求める人物像
- 採用担当者は志望動機をどのくらい見ているの?
- 志望動機を書くために必要な準備
- 志望動機を書く際のポイント
- 【状況別】志望動機の例文
- 【これはNG!】志望動機を書く時の注意点やダメな例
- 志望動機は「伝え方」と「準備」で差がつく
【店舗形態別】調剤薬局の働き方と求める人物像

調剤薬局の立地や店舗形態によって、仕事内容や求める薬剤師の人物像が異なります。そのため、調剤薬局への転職を考えている方は、それぞれの仕事内容や求められる人物像の違いを知り、自分がどのような職場に向いているか考えましょう。
病院門前薬局
病院・クリニックの門前にある薬局で、1つの病院・クリニックに対して複数の薬局が立地しているケースも多く見られます。
総合病院や大学病院の門前にある薬局では、内科・外科・精神科・皮膚科などさまざまな診療科の処方に対応するため、幅広く総合的な知識が必要です。 また、専門医療機関連携薬局として認定される薬局の場合は、より高度で専門的な薬学知識が求められます。
病院門前薬局では、特定の医療機関からの処方箋を多く扱うことから、転職の際はその医療機関でよく処方される医薬品に関する専門的な知識を身につけておく必要があります。さらに、日々多くの患者さまが訪れるなか、薬局全体で協力しながら対応する必要があるため、チームワークが取れるかどうかも採用選考の際に見られるポイントです。
敷地内薬局(病院敷地内薬局)
医療機関の敷地内に設置されている薬局で、医療機関の診療科に特化した高度で専門的な処方箋に対応するケースが多くなります。医師や看護師、MSW(医療ソーシャルワーカー)など、医療機関内の多職種との密接な連携が日常的に求められ、処方意図の理解やフィードバックも重要な業務の一つです。
医療機関の診療スケジュールに合わせて稼働するため、土日や祝日勤務が必要となることもあります。成長意欲が高く、専門性を高めたいという方が求められる傾向にあります。
マンツーマン薬局
マンツーマン薬局は、特定の病院・クリニックと連携して処方箋を受け付ける薬局です。地域密着型で、継続して来局される患者さまを中心に、かかりつけ薬局としての役割が求められる傾向にあります。
服薬指導や生活習慣のアドバイスに加え、在宅医療や地域医療への貢献も期待される場面が多いため、病院・クリニックとの連携や、患者さまとの信頼関係を丁寧に築ける対人力が重視されます。
医療モール型薬局
医療モール型薬局は、医療モールと呼ばれる複数の医療機関が入ったビル内などに併設されている薬局です。特定の医療機関と連携するマンツーマン薬局とは異なり、複数の診療科の処方箋を扱う場面が多いため、より幅広い知識や、多くの処方箋枚数をこなせる高い処理能力が求められます。
駅の近くや繁華街に立地するケースも多いため、薬局を訪れる患者さまの数も多く、業務量が多い傾向にあります。また、土日営業の店舗も増えてきているため、体力があることや、柔軟な働き方ができることが求められます。
面応需型薬局
面応需型薬局は、特定の病院やクリニックの門前にあるわけではなく、さまざまな医療機関からの処方箋を広く受け付ける薬局です。幅広い科目を応需するため、広範囲の知識や柔軟な対応力が求められます。
また、初めて訪れる患者さまも多いため、初対面でも安心感を与えられるような高い対人スキルや、一人ひとりに丁寧な対応ができることが求められます。
調剤併設型ドラッグストア
調剤併設型ドラッグストアでは、調剤業務に加え、OTC医薬品や日用品の販売対応など、小売業で求められる対応力が薬剤師にも求められます。登録販売者や一般販売スタッフなど、異なる職種の方と連携する場面も多いため、相手に合わせたコミュニケーション能力も重要になってきます。
OTC医薬品に関する幅広い知識や提案力、さらには接客スキルも必要です。また、一人薬剤師や事務員不在のケースもあり、処方箋入力やレセプト業務まで自身で対応できるスキルが求められる傾向にあります。
在宅・施設調剤専門薬局
在宅・施設調剤専門薬局は、患者さまのご自宅や介護施設に訪問し、調剤・服薬指導・薬剤管理などをおこなう薬局です。通院が困難な高齢者や慢性疾患患者を支える役割を担い、医師・看護師・ケアマネジャーなど多職種との連携が欠かせません。
車での訪問が基本となるため、運転免許の保有が前提になることが多く、また、看取り対応に関わる場面もあるため、精神的なタフさと、患者さま・ご家族に心から寄り添う姿勢が求められます。
採用担当者は志望動機をどのくらい見ているの?

ここからは、転職活動における志望動機の重要性について解説します。大手企業と中小企業では重要視しているポイントが異なる傾向にあります。
採用担当者は志望動機から何を見ている?
調剤薬局の採用担当者が志望動機で重要視しているポイントは、「応募者がどのような薬剤師を目指しているか」「どのようなキャリアビジョンを描いているか」と、これらが自社の理念やビジョンとマッチしているかどうか、というところです。企業の方向性と応募者の価値観や将来像が一致していれば、入社後のミスマッチや早期離職の防止に繋がるため、志望動機は「志望の理由」というより、「企業との相性を測る項目」として見られていることが多い傾向にあります。
また、場面によっては、職務経歴者や履歴書の書き方や整え方から、薬歴作成の正確さや、他者への配慮ができるかどうかを見られているケースもあるため、書類全体を通じて「仕事ぶり」が見られていることも意識して書くようにしましょう。
企業規模による違い
志望動機の重要性は企業規模を問わず高いものの、「どこまで厳格にチェックされるか」には差があります。
特に大手調剤薬局では、明確な採用基準が設けられており、企業理念やビジョンとのマッチング度合いを重視する傾向にあります。大手であればあるほど、組織としての一貫性や方向性を重視しているため、志望動機に企業への理解や共感がしっかり表現されているかがポイントになります。
一方、中小規模の薬局では、もちろん志望動機も見られますが、熱意や人柄、現場での柔軟性など、人物面をより重視するケースも多く見られます。「なぜこの薬局を選んだのか」という具体性や、地域との関わり方などに触れた志望動機が評価されやすい傾向にあります。
志望動機を書くために必要な準備

業界研究をおこなう
業界研究を通じて業界全体の動向や将来性、どのような企業が存在するのか、その中で志望する薬局がどのような立場にあるのかなどを把握することは重要です。これらの情報から、業界の全体観を把握し、業界と志望する薬局との関係性を知ることで、志望動機で薬局への志望度合いを伝えやすくなります。
業界研究の進め方はさまざまありますが、まずは市場規模やその推移、業界における代表的な企業など、業界全体の大まかな構造を把握したあと、業界内のさらに詳しい現状や将来性について情報を収集し、業界のリアルな状況を把握しましょう。
企業研究をおこなう
志望動機をより具体的かつ説得力のあるものにするためには、企業への理解を深めて、「自分の目指す姿」がその企業の方向性や価値観と合っているかを判断することが重要です。
また、企業研究をおこない、その企業がどのような経営理念を持ち、どのような人材を求めているのかを理解することで、入社後のマッチ度を高めることにも繋がります。企業のホームページや転職コンサルタントの活用、業界誌(Webサイト)等から、以下のような企業情報を収集し、企業理解を深めましょう。
| 企業研究に必要な項目 | 企業研究に必要な情報 |
|---|---|
| 経営理念 | ・経営方針 ・企業規模 など |
| 企業の特色 | ・薬局機能の認可状況 ・地域医療における役割 ・所在地域 など |
| 勤務環境 | ・勤務時間 ・休憩時間 ・年間休日数 ・転勤の有無 ・福利厚生 など |
| キャリアパス | ・キャリア支援制度 ・管理薬剤師やエリアマネージャーになるまでの過程・制度 ・専門薬剤師などの資格取得支援制度 など |
自己分析をおこなう
志望動機を書くためには、業界や企業についての理解を深めるだけでなく、自己分析をおこなうことも重要です。自己分析により理解が深まった自分の特性と業界研究や企業研究で得た情報とを関連付けることで、より説得力をもって、企業と自身のマッチ度合いを示すことが可能になります。
自己分析の方法としては、以下が効果的です。
- 自分史を作成する(幼少期から大学時代までの出来事を時系列で書き出す)
- 自分への質問を作成し回答する(過去の自分へ質問を行い、過去の経験や行動を振り返る)
自分史の作成では、どのような子どもだったのか、なぜ薬学部に入ろうと思ったのか、など詳しく記載しましょう。それを通じ、「なぜ転職したいのか」「今後はどうありたいのか」を深ぼりすることで、本質的な自分の考え方や価値観を明確にし、言語化しやすくなります。
実績・スキルの棚卸しをおこなう
自分がこれまでに経験してきた業務上の経験や成果を整理・分析することで、採用担当者に対して自分がどのように価値を発揮できるか、薬局に貢献できるかをより具体的に示すことができるようになるでしょう。
実績・スキルの棚卸しをする具体的な方法例は以下です。
- 1日の業務を「目的」「プロセス」「成果」に分けて書き出す。
- 上記で書き出したものをさらに深堀りする。
【深堀りの例】
1.「目的」から「プロセス」までに考えたこと
2.「プロセス」で実際に使用した機器や得た経験
3.「成果」の具体的な数値 など - 深堀りした内容をベースに、現職において「どのような業務をどのように行い、どのような成果を出したか」を文章にして整理する。
- 文章で整理したものから、応募企業と自分がどのようにマッチするかを考える。
企業が求めるスキルや経験に、自分が発揮できるスキルや経験が合致していることを志望動機でうまく示すことができれば、採用担当者に良い印象を与えられます。また、過去の履歴書や職務経歴書を見直してこれまでの職歴や担当業務、取得した資格やスキルを整理することも効果的です。
志望動機を書く際のポイント

調剤薬局の志望動機を作るコツとして、以下の方法があります。
- 読みやすい構成で書く(PREP法)
- 具体的な数値や職場環境を記載する
- 企業の特性に沿って強みや特性をアピールする
読みやすい構成で書く(PREP法)
志望動機は、採用担当者にとって「その人が自社で活躍できるか」を見極める重要な判断材料です。だからこそ、読み手に伝わりやすい構成で簡潔にまとめることが大切です。近年の転職業界においては、「PREP法」を用いた志望動機の書き方が推奨されています。
PREP法とは、以下の4つの順序で構成される伝え方のフレームです。
- P(Point)結論:最初に一番伝えたい主張を述べる
- R(Reason)理由:その理由を簡潔に説明する
- E(Example)具体例:実際の経験や事例を挙げて補足する
- P(Point)結論:再度、主張を簡潔にまとめる
この順序で書くことにより、「何が言いたいのか」がぶれることなく、読み手が理解しやすくなります。文章を構成することが苦手な方は、PREP法に則って志望動機を作成してみましょう。
具体的な数値や職場環境を記載する
志望動機を書く際は、「その企業で働きたい」という想いや意欲を伝えるだけでなく、自分がどのような職場環境で、どのような経験を積んできたのかを具体的に伝える必要があります。
特に薬剤師の転職においては、経験の質や業務量を採用担当者が具体的に把握できるように、次のような要素を盛り込むとよいでしょう。
- 在籍していた薬局の形態(病院門前薬局、医療モール型薬局、在宅・施設調剤専門薬局など)
- 処方箋枚数の平均(1日○○枚対応など)
- 薬剤師の体制(常時2~3名体制、1人薬剤師勤務経験ありなど)
- 応需していた診療科目(内科、整形外科、小児科など複数科目に対応)
- 役職・担当業務の範囲(管理薬剤師、在庫管理、後輩指導など)
これらを記載することで、「これまでどのような経験やスキルが身についたか」「今後どのように活躍できるか」を採用担当者に具体的に伝えることができます。
企業の特性に沿って強みや特性をアピールする
数ある調剤薬局の中から、なぜこの調剤薬局で働きたいと思ったのか、なぜこの調剤薬局でなければいけないのか、その理由を志望動機で説明することも重要です
企業情報から、企業の特徴や経営理念、主力事業などを把握し、その中から自分が魅力に感じたポイントを具体的に盛り込みます。さらに、これまでの経験やスキルから自分がどのようにこの薬局に貢献できるかを示すことで、採用担当者により好印象を与えられるでしょう。
【状況別】志望動機の例文

志望動機作成のポイントをご紹介しましたが、いざ書こうと思っても、なかなか文章が思いつかない方もいるでしょう。ここでは、ファルマスタッフのコンサルタントが添削した調剤薬局への志望動機の例文を、5つの状況別に分けてご紹介します。
- 新卒入社を目指す薬学生・既卒の就活
- 調剤未経験からの転職
- 調剤薬局から調剤薬局への転職
- 異業種から調剤薬局への転職
- 出産・子育てブランクからの再就職
新卒入社を目指す薬学生・既卒の就活
新卒入社を目指す薬学生・既卒の方が調剤薬局への就職を目指す場合、志望動機には大学でどのようなことを学んだのか、在学中に得た知識や経験をどのように活かしたいか、将来どのような薬剤師になりたいかを具体的に示すことが重要です。
特に、企業の事業内容や経営理念と、自身の経験や価値観とを関連付けることで、相手に意欲を効果的に伝えられます。
以下では「かかりつけ薬剤師を目指す」場合と、「専門性を追求したい場合」の2パターンに分けて具体的な例文をご紹介します。
【かかりつけ薬剤師を目指す場合】
私が貴社を志望する理由は、地域住民の皆さまの健康を身近な立場で支える「かかりつけ薬剤師」になりたいという強い想いがあるからです。
薬局実務実習で、ある高齢の患者さまが「最近、夜眠れなくて...」と、処方薬とは別の悩みを打ち明けてくださったことがありました。指導薬剤師の先輩は、服用中のお薬との関連性を確認した上で、生活リズムを整えるためのアドバイスや、場合によっては専門医への受診を提案するなど、親身に相談に乗っていました。その結果、患者さまが「薬局に来るとホッとする。あなたに相談してよかった。」と笑顔でおっしゃった姿が今も心に残っています。この経験から、ただ薬をお渡しするだけでなく、患者さまの生活背景まで理解し、心に寄り添うことこそが薬剤師の本来の役割だと確信しました。
貴社は「健康サポート薬局」として地域活動にも積極的に参加し、住民の皆さまのセルフメディケーションを推進されていると伺っております。充実した研修制度のもとで対人業務のスキルを磨き、実習で培った傾聴力を活かして、患者さまはもちろん、そのご家族からも信頼される薬剤師として、貴社と地域医療の発展に貢献したいと考えております。
【専門性を追求したい場合】
私が貴社を志望する理由は、糖尿病領域における高度な専門性を身につけ、患者さまのQOL(生活の質)向上に貢献できる薬剤師になりたいからです。
祖父が長年、糖尿病を患っており、多くの薬剤を服用しながら食事療法にも苦労する姿を間近で見てきました。薬の専門家として祖父のような患者さまの力になりたいと考え、薬学部へ進学しました。大学では糖尿病治療薬の作用機序や副作用マネジメントについて特に熱心に学び、薬物療法の奥深さと、薬剤師による個別のアプローチの重要性を痛感いたしました。
貴社が特に生活習慣病領域に力を入れ、糖尿病療養指導士をはじめとする専門薬剤師の育成に注力されている点に、大きな魅力を感じています。また、地域の医療機関と連携した患者さま向けの勉強会を定期的に開催されるなど、薬局の外でも専門性を発揮できる環境があることも、私の目標と合致しています。入社後は、まず基礎的な業務を確実に習得し、将来的には専門資格の取得にも挑戦したいです。自身の経験と知識を活かし、患者さま一人ひとりの治療に深く貢献することで、貴社の発展に貢献したいと強く願っております。
調剤未経験からの転職
調剤未経験の薬剤師が調剤薬局に転職する場合、未経験であることを隠さずに正直に伝えることが大事です。そして、これまでのスキルや経験を活かして働ける点や、この調剤薬局で働きたい熱意、積極的に学習する姿勢を志望動機で示すことが効果的です。
今回はより具体的な設定として、大手製薬会社でMRとして10年勤務した後、調剤未経験で調剤薬局への転職を目指す場合の例文をご紹介します。
私が貴社を志望する理由は、MRとして培った専門知識と経験を活かし、患者さま一人ひとりに最後まで寄り添う薬物療法の専門家として地域医療に貢献したいと考えたからです。
現職ではMRとして10年間、主にオンコロジー領域を担当し、医師へ最新の医薬品情報を提供することで、がん治療の発展に貢献してまいりました。最先端の知識を学び、ドクターと対等に議論できる専門性を磨くことには大きなやりがいを感じております。しかし、担当薬剤の副作用に苦しむ患者さまを目の当たりにするたび、医薬品を届けた後の患者さまの生活を直接支えられないことに、次第にもどかしさを感じるようになりました。
そのような中、貴社の薬剤師の方が、専門性を活かした副作用マネジメントで患者さまのQOL維持に貢献し、医師からも治療のパートナーとして厚い信頼を寄せられている姿を拝見する機会がございました。その時、私が本当にやりたいことは、医薬品という「モノ」の情報を届けることではなく、薬物治療を受ける「ヒト」に最後まで寄り添い、自身の知識で直接支えることだと確信いたしました。
調剤業務は未経験ではございますが、一日も早く戦力になれるよう、謙虚な姿勢でご指導を仰ぎ、業務を吸収していく覚悟です。MRとして培ったオンコロジー領域の深い専門知識、そして地域の基幹病院の先生方と築き上げてきた信頼関係は、貴社が推進されている高度薬学管理や在宅医療の現場で必ず活かせると考えております。これまでの経験を土台としながら新たなスキルを吸収し、貴社の発展に貢献していく所存です。
調剤薬局から調剤薬局への転職
これまで働いていた調剤薬局から、他の調剤薬局への転職をする場合、なぜ他の調剤薬局を選んだのか、志望理由を明確にするとともに、これまでの職務経験を活かしつつ、新しい職場でどのように貢献したいかを具体的に示すことが重要です。また、スキルアップ意欲や貢献意欲を伝えることも効果的です。
私が貴社を志望する理由は、これまで培ってきた「かかりつけ薬剤師」としての経験を土台に、患者さまの生活に一歩踏み込んで療養を支える在宅医療の専門家へと成長したいという強い想いがあるからです。
現職の調剤薬局では5年間、主に内科・整形外科領域の知識を深めながら、患者さまとの継続的な関係構築を大切にしてまいりました。特に「かかりつけ薬剤師」として、一人の患者さまの服薬情報を多角的に管理し、生活背景を考慮した上で服薬指導をおこなうことにやりがいを感じておりました。しかし、ご高齢で通院が困難になった患者さまや、そのご家族の負担が増していく様子を目の当たりにする中で、薬局という場所で「待つ」だけのアプローチに限界を感じるようになりました。患者さまの生活の場に赴き、直接療養環境を拝見することで、より質の高い薬学的介入ができるのではないかという想いが強くなりました。
貴社が地域でも先駆けて在宅医療に注力され、特に多職種連携カンファレンスへの積極的な参加や、最新のICTツールを活用した情報共有体制を構築されている点に、大きな魅力を感じております。このような先進的な環境であれば、私が目指す「患者さまの生活全体を支える薬剤師」として、理想的なキャリアを築いていけると確信いたしました。
これまで培ったコミュニケーション能力と内科・整形外科領域の知識を活かし、一日も早く貴社の在宅医療チームの一員として貢献したいと考えております。そして、将来的には在宅療養支援認定薬剤師などの資格取得にも挑戦し、専門性を高め、貴社と共に地域包括ケアシステムの推進力となれるよう、全力で取り組んでいく所存です。
異業種から調剤薬局への転職
異業種から調剤薬局に転職する場合、異業種へ挑戦しようと思ったきっかけや理由を明確に伝えるようにしましょう。また、企業研究をしっかりとおこなったうえで、自分のこれまでの経験がどのように活かせるかを盛り込むようにしましょう。業種を超えて貢献できる多様なスキルをアピールすることもポイントです。
今回はより具体的な設定として、大手製薬会社で30年以上勤務し、研究開発や学術、マーケティング部門を歴任し、主に循環器領域を中心とした生活習慣病の製品戦略に従事した後、異業種から調剤薬局への転職を目指す場合の例文をご紹介します。
私が貴社を志望する理由は、薬剤師として歩んできたキャリアの集大成として、これまで培った全ての知識と経験を、地域に暮らす患者さまお一人おひとりのために直接役立てたいと強く願っているからです。
製薬会社では30年以上にわたり、主に循環器領域の医薬品開発やマーケティングに携わり、「疾患」という大きな視点から医療に貢献することに誇りを持ってまいりました。しかし、自身の親の介護を経験し、複数の薬を服用する高齢の患者さまやそのご家族が抱える日々の不安に直面した際、薬剤師として本当に為すべきことは、目の前で困っている方の生活に寄り添い、その不安を一つひとつ解消していくことではないかと、改めて自らの原点を見つめ直しました。地域医療の最前線に立ち、薬の専門家として人々の暮らしを直接支える貴社の薬剤師の皆さまの姿を拝見し、私の目指す薬剤師像がここにあると確信いたしました。
調剤の知識、スキル、そして現場での判断力は、ゼロから学ばせていただく覚悟です。年齢やこれまでの役職に関わらず、どんな些細なことでも、謙虚な姿勢でご指導を仰ぎ、一日も早く業務を習得する所存です。
一方で、長年循環器領域の専門家として培ってきた医薬品に関する深い知識や、医師との対話を通じて磨いたコミュニケーション能力は、患者さまへの服薬指導の質を高める上で、また地域の医療機関との連携を深める上で、必ず貴社のお役に立てると信じております。
薬剤師としての最後のステージを、地域医療への貢献に捧げたいと考えております。これまでのキャリアで得た全てを注ぎ込み、貴社の発展と地域住民の皆さまの健康に貢献していく覚悟です。
出産・子育てブランクからの再就職
出産や子育てによるブランクからの再就職の場合、ポジティブな姿勢と、薬剤師として培った経験やスキルだけでなく、ブランク期間中の経験や、そこから得た考え・スキルなどを伝えられると良いでしょう。また、子育てをする中で、薬剤師としてではなく、薬局を訪れる1人の親の目線で得た知見や視点を、服薬指導でどのように活かせるかを自分の言葉で伝えられると、エピソードにより具体性が増し効果的です。
今回はより具体的な設定として、ブランク前に地域の基幹病院で主に病棟業務に従事し、出産と子育てで5年間のブランクを経て、調剤薬局へ再就職をする場合の志望動機の例文をご紹介します。
私が貴社を志望する理由は、病院薬剤師としての経験と、育児を通じて得た生活者の視点の両方を活かし、地域に根ざした薬局の一員として患者さま一人ひとりの暮らしに寄り添いたいと考えたからです。
前職の病院では、主に病棟薬剤師として勤務し、急性期から慢性期の様々な疾患を持つ患者さまと向き合ってまいりました。医師や看護師と連携し、検査値を読み解きながら処方提案をおこなうなど、チーム医療の一員として薬物治療に深く関わる中で、病態や薬理に関する幅広い知識を培いました。
その後、出産・育児のため5年間現場を離れておりましたが、自身の子供の体調不良で薬局を利用した際、不安な私に親身に寄り添い、的確なアドバイスをくださった薬剤師の方の存在が、大変心強く感じられました。この経験から、患者さまやそのご家族の日常の不安に寄り添える「かかりつけ薬局」の役割の重要性を改めて実感し、もう一度薬剤師として地域医療に貢献したいという想いが強くなりました。
ブランクがあるため、最新の医薬品知識や在宅医療に関するスキルなど、学ぶべきことが多いことは承知しております。貴社が復職者向けの研修制度を充実させていらっしゃると伺い、ぜひその様な環境で知識をアップデートしながら、一日も早く戦力となりたいと考えております。幸い、子育ても落ち着き、家族の協力体制も整っておりますので、安定した勤務が可能です。
病院で培った幅広い臨床知識と、母親として得た生活者の視点を掛け合わせることで、これまでとは異なる深みのある服薬指導ができると信じております。患者さまの背景を深く理解し、心から信頼される薬剤師として、貴社の発展に貢献できることを楽しみにしております。
【これはNG!】志望動機を書く時の注意点やダメな例
志望動機が「伝わりにくい」「印象が悪い」と受け取られてしまうポイントも存在します。ここでは、よくあるNG例とその理由を詳しく解説します。
どこの企業でも当てはまる内容
どこの企業でも使いまわせる抽象的な内容の志望動機では、業界や企業に対する理解が足りていないと受け取られてしまい、面接まで至らない可能性が高いです。例えば、「患者さまの役に立ちたい」「地域医療に貢献したい」「薬剤師のスキルを活かしたい」といった志望動機では、具体性がないため、採用担当者に「うちでなくても良いのでは?」と疑問を抱かせてしまいます。
その調剤薬局に就職することについての自分なりの考えや、「その調剤薬局のどのような取り組みに感銘をうけたのか」「数ある調剤薬局の中でなぜここを選んだのか」など、具体的でオリジナリティのある志望動機を記載するようにしましょう。
また、通勤距離の近さや勤務時間の都合の良さなど、労働条件だけを前面に出してしまうと、「働きやすさだけで選んでいる」という自分勝手な印象を持たれてしまいます。
採用担当者は、応募者の働きやすさではなく、働く姿勢や自社とのマッチ度を見ています。条件面に触れる場合でも、それが自身の働き方や貢献意欲にどうつながるのか、前向きな文脈で語ることが求められます。
「学びたい」「成長したい」だけの受け身な姿勢
研修制度や教育環境を魅力に感じること自体は問題ありませんが、それを軸にしてしまうと、自らの意志や主体性が感じられず、受け身な印象を与えてしまいます。
採用担当者は、学ぶ姿勢よりも「どんな思いで学びたいのか」「何に活かしていきたいのか」という将来像を重視します。薬局側は、「研修を受けたい人」ではなく、「目的を持って成長し、その経験をどう貢献に結び付けられるかが明確な人」を求めているため、志望動機を構成する際には、「こういう薬剤師を目指している」「だからこの薬局で働きたい」「こう貢献できると考えている」といった、一貫性のある軸が重要です。意欲的な言葉だけを並べるのではなく、これまでの経験や考え方と結びつけて語ることで、説得力と熱意が伝わります。単なる"想い"ではなく、それをどう行動につなげるかまで落とし込めているかを常に意識しましょう。
志望動機は「伝え方」と「準備」で差がつく
調剤薬局への転職では、志望動機が選考結果を大きく左右することもあります。採用担当者に意図が伝わりやすくなるよう、PREP法を使って簡潔に構成することや、実体験・具体的な数字を交えて説得力を高める工夫が重要です。
また、業界・企業研究や自己分析、キャリアの棚卸しを通じて、自分の想いや強みが企業とどのように重なるかを明確にしておくことも大切です。
さらに、「待遇が良いから」「研修制度が充実しているから」などの受け身な理由ではなく、自分がどのような薬剤師を目指し、その実現の場としてなぜこの薬局を選んだのかを伝える必要があります。
応募先に「この人と一緒に働きたい」と感じてもらえるような、意欲と人柄が志望動機から伝わるような内容にすることが、転職成功への第一歩です。
ファルマラボ編集部
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