- 公開日:2025.08.28
薬剤師の転職が厳しい理由は?年齢別の傾向や成功のポイント、これから求められるスキルもご紹介

いざ転職活動をしてみると、「なかなか厳しいな...」と感じる薬剤師の方も少なくないのではないでしょうか。
この記事では、薬剤師の転職は本当に「厳しい」のか、薬剤師を取り巻く環境や数値データをもとに解説します。また、年齢別の年収推移や業務領域の変化、転職で活きる取得推奨資格、転職コンサルタントが教える採用されやすい薬剤師の特徴についても細かくご紹介します!
ぜひ、ご自身の状態と照らし合わせながらご覧ください。
- 対応業務範囲の変化など...薬剤師の転職が厳しい理由
- 薬剤師の需要と供給のバランスから見る転職市場
- 【参考】年齢別・業種別の平均年収
- 《転職コンサルタントが伝授》採用されやすい薬剤師ってどんな人?
- 《転職コンサルタントに聞く》転職を成功させるためのポイント
- 【まとめ】経験やスキルを磨き、自身にあったキャリア選択をすれば、薬剤師の転職は決して厳しくない
対応業務範囲の変化など...薬剤師の転職が厳しい理由

薬剤師の転職が「厳しい」と言われる背景には、いくつかの理由があります。ここでは、様々な理由のうち特に影響のある背景を解説します。
これまで以上に対人業務や地域連携が求められるようになった
平成27年に厚生労働省から出された『患者のための薬局ビジョン~「門前」から「かかりつけ」、そして「地域」へ~』のなかでは、ビジョン全体を貫く基本的な考え方として、以下のように明記されました。
~対物業務から対人業務へ~
患者に選択してもらえる薬剤師・薬局となるため、専門性やコミュニケーション能力の向上を通じ、薬剤の調製などの対物中心の業務から、患者・住民との関わりの度合いの高い対人業務へとシフトを図る。
患者のための薬局ビジョン~「門前」から「かかりつけ」、そして「地域」へ~|厚生労働省より引用
また、2024年6月に行われた調剤報酬改定では「地域支援体制加算」の要件などが見直され、これまで以上に地域医療への貢献が評価されるようになりました。
これに伴い、薬剤師には従来の調剤業務にとどまらず、かかりつけ薬剤師としての役割や在宅医療、地域医療への参画、多職種連携などが求められるようになりました。このような変化に柔軟に適応していくことが、薬剤師としてのキャリア形成に重要になっていきます。
DX化への適応が求められるようになった
医療分野のDX(デジタルトランスフォーメーション)化により、薬剤師に求められるスキルや役割も変わってきています。近年では、調剤業務や情報管理においてITやAIの活用が進み、薬剤師が従来担っていた業務の一部が自動化・効率化されつつあります。
代表的な例として、服薬指導の音声からの「薬歴作成の自動化」が挙げられます。生成AIと音声認識技術を搭載したシステムの導入により、服薬指導後の薬歴作成を自動化でき、これまでかかっていた手間や時間を大幅に削減することで、「薬歴残業」が減った事例もあります。
一方、DX化が進むことにより、ツール類を使いこなすためのITリテラシーや業務効率化の観点、薬歴入力に必要な情報を引き出すためのコミュニケーション能力など、これまで以上に幅広いスキルや、様々なことへの適応力が求められるようになるでしょう。
薬剤師の需要と供給のバランスから見る転職市場
薬剤師の転職市場を見渡すうえで重要なのが、需要と供給のバランスです。実はこのバランスは全国で均一ではなく、地域ごとに大きな差があります。また、薬剤師数の増加により、将来的な需給の崩れも懸念されています。
ここでは、地域別の偏在状況や需給推移、有効求人倍率のデータをもとに、転職市場の実情を詳しく見ていきます。
地域による需給バランスの違い
厚生労働省が実施している偏在指標に関する調査によれば、薬剤師の需要と供給のバランスには地域によって大きな差があることがわかっています。
偏在指標とは、医療職の人数が地域によってどの程度偏っているかを示す指標です。指標1.0を均衡がとれている状態とした場合、1.0より小さければ不足、多ければ過剰ということになります。
以下は、厚生労働省が令和5年に公表した地域別薬剤師偏在指標を表したものです。
| 上位6県 | 偏在指数 | 下位6県 | 偏在指数 |
|---|---|---|---|
| 東京都 | 1.28 | 福井県 | 0.74 |
| 神奈川県 | 1.12 | 青森県 | 0.78 |
| 兵庫県 | 1.10 | 富山県 | 0.80 |
| 福岡県 | 1.10 | 山形県 | 0.82 |
| 広島県 | 1.07 | 鹿児島県 | 0.82 |
| 大阪府 | 1.06 | 三重県 | 0.82 |
同調査によると、47都道府県中、36県は偏在指標1.0を下回っているため、全国的には薬剤師が不足していると言えます。しかし、東京などの都市部を中心に薬剤師人口が集中している傾向にあるため、地域によって転職の難易度も異なると考えられます。
令和5年3月29日第13回薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会|厚生労働省
薬剤師数と需給バランスの推移
厚生労働省が令和6年に公表したデータによると、令和4年における全国の薬剤師数は323,690人であり、平成28年の301,323人と比較すると6年間で約2万人増加していることが明らかとなっています。
以下のグラフは、厚生労働省が令和3年に公表した薬剤師の需給推計の推移です。
薬剤師数の増加に加え、需給バランスが将来的に崩れることが予想されています。同資料では、今後の薬剤師の需給推計として、以下のように言及されています。
薬剤師の総数としては、概ね今後10年間は、需要と供給は同程度で推移するが、将来的には、需要が業務充実により増加すると仮定したとしても、供給が需要を上回り、薬剤師が過剰になる。
薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会|厚生労働省より引用
薬剤師数増加の背景として、薬学部(学科)を設置する大学の増加が考えられます。 文部科学省が令和6年に公表した資料によると、薬学教育6年制が導入された平成18年以降、薬学部を持つ大学は大幅に増加しました。将来的な薬剤師の過剰供給などに対する課題意識の高まりを受けて、近年では薬学部の入学定員を見直そうとする動きが出始めています。
文部科学省が令和4年に公表した資料では、「定員抑制も含めた見直しが必要」との意見が示されており、今後の薬剤師数の推移や供給体制に変化が出る可能性があることも留意するとよいでしょう。
有効求人倍率から見る転職動向
有効求人倍率は、求職者1人に対して何件の求人があるかを示す指標で、厚生労働省が全国のハローワークのデータをもとに毎月発表しています。例えば、「有効求人倍率 1.5倍」であれば、1人に対して1.5件の求人が存在する状態を表します。数値が高ければ高いほど「人手不足(=売り手市場)」であり、低ければ「求職者が多い(=買い手市場)」という雇用の需給バランスを表しています。
以下は、厚生労働省が公表している令和7年3月分の「医師、歯科医師、獣医師、薬剤師」と「一般職業」の有効求人倍率を比較したものです。
| 医師・薬剤師などの有効求人倍率 (職業計の倍率) |
一般職業の有効求人倍率 (職業計の倍率) |
|
|---|---|---|
| パート含む | 2.30 | 1.16 |
| パート除く | 3.24 | 1.24 |
パートを含む・含まないのいずれについても、薬剤師を含む専門職の有効求人倍率は一般職業と比較して高い傾向にあります。
この結果からも、薬剤師を含む専門職は依然として高い需要があり、売り手市場であることがわかります。しかし、直近数年では有効求人倍率に大きな変化がみられず、転職市場としては安定していくとも考えられます。
一般職業紹介状況(令和7年3月分及び令和6年度分)について|厚生労働省
【参考】年齢別・業種別の平均年収

厚生労働省が公表している「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、年齢別の薬剤師の平均年収は以下のとおりです。
| 年齢 | 平均年収 |
|---|---|
| 23~24歳 | 399万9,000円 |
| 25~29歳 | 500万9,700円 |
| 30~34歳 | 564万4,100円 |
| 35~39歳 | 614万1,400円 |
| 40~44歳 | 646万1,100円 |
| 45~49歳 | 667万2,500円 |
| 50~54歳 | 744万7,300円 |
| 55~59歳 | 709万2,600円 |
| 60~64歳 | 685万2,700円 |
| 65~69歳 | 559万4,100円 |
| 70歳~ | 465万9,700円 |
※平均年収は「きまって支給する現金給与額」×12ヶ月+「年間賞与その他特別給与額」によって算出。
薬剤師の平均年収は、就職後右肩上がりに上昇し、50~54歳で最も高くなります。この年代は特に、管理薬剤師やエリアマネージャーなど、マネジメントを担う薬剤師の方が多くいることが大きな要因と言えるでしょう。
令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況|厚生労働省
《転職コンサルタントが伝授》採用されやすい薬剤師ってどんな人?

薬剤師として転職を成功させるには、「実務スキル」だけでなく、職場で求められる人物像を理解しておくことが重要です。
ここでは、調剤薬局や病院、企業が「この人と一緒に働きたい」と感じる、採用されやすい薬剤師の特徴をご紹介します。逆に、「この人とは一緒に働きづらい」と感じられてしまうポイントや、面接で聞かれやすい質問についても解説します。
採用されやすい薬剤師の特徴4選
ここでは、採用現場に何度も足を運ぶ転職コンサルタントが考える、採用側に求められやすい薬剤師像を4つピックアップしてご紹介します。ぜひ、自分の強みと照らし合わせてみてください。
20~30代で正社員を希望する人
企業や薬局が重視するポイントの一つとして、「長く安定して働いてくれるかどうか」があります。その点で、長期的に働くビジョンをお持ちの20〜30代の正社員希望者は受け入れられやすいです。
また、たとえ同じ業務内容であっても、職場ごとに細かなルールや風土は異なるため、そうした違いに抵抗なく適応できる素直さ・柔軟さは、採用側としても大きな安心材料になります。
かかりつけ薬剤師として活躍している人
「かかりつけ薬剤師」の在籍は、調剤薬局にとって今や必要不可欠と言っても過言ではありません。国が求める地域密着型の薬局機能を果たす上でも、かかりつけ薬剤師は大きな役割を担っています。
特に「地域支援体制加算」などの加算を算定するためには、認定薬剤師資格を持ち、かかりつけ薬剤師として届け出た人が必要です。そのため、既にかかりつけ薬剤師として活躍されている方、あるいはかかりつけ薬剤師として活躍したいという意欲がある方は、調剤薬局からも高く評価される傾向にあります。
在宅医療に対して積極的な人
日本では少子高齢化が進むなか、在宅医療のニーズが年々高まっています。調剤薬局においても、これまで以上に在宅医療への対応力が求められるようになります。
2024年度の調剤報酬改定では「在宅薬学総合体制加算」などの在宅医療に関連する算定項目が新設されるなど、国としても調剤薬局に対し、積極的な在宅医療への参画を求めていることが伺えます。この流れを受け今後ますます、在宅医療に対し前向きな姿勢を持っている方、または既に経験のある方は調剤薬局にとって必要な存在となっていきます。
薬剤師が行う在宅医療は大変?知っておきたい魅力・大変さと解決法
成長意欲やキャリアアップ志向のある人
近年は、DX化や対人業務への役割変化に伴い、これまで以上に専門知識や新しいことへの挑戦意欲、スキルアップが求められるようになりました。今後薬局で必要とされるためには、自ら成長をし続けられることも、重要なポイントになります。
また、薬局数が増加する中で薬局運営に携われる、マネジメント視点をもつことができる人材も、今後ますます重宝されます。新しいことにチャレンジする姿勢や、自主的に学び続ける、成長し続けたいという姿勢は、面接でもアピールポイントになります。
採用担当者が不安に感じるポイント4選
転職活動では、「自分の強みをどう伝えるか」だけでなく、採用担当者が不安に感じる部分を知っておくことも重要です。 ここでは、採用現場でありがちな、「採用担当者に不安を与えてしまうポイント」を4つご紹介します。
転職回数が多い
転職の回数が多いと、「またすぐに辞めてしまうのではないか」と思われてしまうことがあります。職場としては、できるだけ長く安定して働いてくれる方を採用したいため、この点は特に慎重に見られがちです。
ただし、必ずしも転職回数が多い=マイナスとは限りません。大切なのは「なぜ転職を繰り返したのか」「何を得たのか」「これからどんな働き方をしたいのか」を自分の言葉でしっかりと説明できることです。キャリアに一貫性があり、前向きな理由が伝われば、マイナスイメージを払拭できる可能性もあります。
相場に見合わない給与希望を提示する
希望年収を伝えることは大切ですが、相場を大きく超える金額を提示すると、自分本位な印象を持たれてしまうこともあるでしょう。例えば、「これまで調剤の現場業務経験のみで、管理薬剤師などのマネジメント経験がない」というケースにおいて、マネジメント職並みの希望年収だけを伝えてしまうと、採用側との齟齬が生じる可能性があります。
まずは、求人票や業界の平均年収を確認し、自分の経験やスキルと照らし合わせて、現実的な範囲で希望を伝えることが大切です。不安なときは転職コンサルタントに相談し、客観的な相場観を教えてもらうのもおすすめです。
認定薬剤師資格を取得していない
これからの薬剤師には、地域医療を支える力や専門性がますます求められていきます。その中で「認定薬剤師資格を持っていない」という状態が、「成長意欲がない」と見られてしまうことも考えられます。
地域支援体制加算など一部の調剤報酬の算定には、薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度などの研修認定を取得した薬剤師を有することが必要です。薬剤師としての価値を高めるためにも、まずは認定薬剤師資格の取得を目指すことがスタートラインと言えるでしょう。
業務内容に強いこだわりがある・休日などの勤務条件のみを重視する
「調剤だけやりたい」「土日は必ず休みたい」といった条件を強く主張しすぎると、周囲との協調性の面で不安を与えてしまう可能性があります。特に、少人数で運営している薬局では、スタッフ同士で助け合いながら柔軟に動くことが求められるため、「自分のやりたいことばかりを優先する人」は敬遠されがちです。
もちろん希望条件を持つことは悪いことではありませんが、現場に合わせた柔軟な対応ができる姿勢を見せることが、好印象につながります。
【参考】薬剤師転職の面接で聞かれやすい質問は?
薬剤師転職の面接では、医療人・専門職としての考え方や人間性、キャリアビジョンが問われる傾向があります。どのような質問がよく聞かれるのかを事前に知っておくことで、面接当日も落ち着いて自分の考えを伝えることができます。
ここでは、実際の面接でよく聞かれる質問と、その意図について解説します。
転職活動の軸
「転職先を選ぶうえで重視していることは何ですか?」といった形で聞かれることが多い質問です。この質問では、あなたのキャリア観がしっかりしているかどうかが確認されています。労働条件だけでなく、「なぜその働き方を望むのか」「その希望が自社に合っているのか」を採用担当者は見ています。
自分がどのような薬剤師になりたいのか、そのために転職で何を実現したいのかを言語化しておくことが大切です。
転職理由や志望動機
こちらも定番の質問ですが、回答の内容だけでなく、一貫性や納得感があるかも重視されます。
「人間関係が悪かった」「忙しすぎた」といったネガティブな理由だけでなく、それを通じて「どんな環境で力を発揮したいのか」「なぜこの職場に惹かれたのか」という前向きな動機につなげて伝えると、好印象につながります。
自分の長所と短所
一般職と同様に聞かれる質問ですが、薬剤師の場合は、現場での立ち回りや協調性、責任感なども見られています。
例えば、「几帳面で確認を怠らない」といった長所は信頼感につながる一方で、協調性の観点から「完璧主義すぎる」などと短所としてとらえられる可能性もありますので、伝え方には工夫が必要です。自分自身を客観的に理解しているかどうかも評価ポイントとなります。
これまでの経験内容の深堀
「今までどのような業務を担当していましたか?」「印象に残っているエピソードは何ですか?」といった、具体的な業務経験についての質問です。
この質問では、経験の量だけでなく、質や工夫 、業務へ取り組む姿勢などを伝えることが大切です。「どのような課題にどう向き合ったか」「何を意識して仕事に取り組んできたか」など、行動の背景まで丁寧に伝えられると、考え方や入社後の活躍イメージがより伝わりやすくなります。
薬剤師を目指したきっかけ
この質問では、あなたの人としての軸や行動力、価値観が見られています。
きっかけそのものが特別なものでなくても構いません。重要なのは、「どうして薬剤師になろうと決めたのか」「そのためにどのような行動をしてきたのか」といった、人としての軸があるかどうかです。
今後目指していきたい薬剤師像・キャリアプランや人生プラン
「将来的にどのような薬剤師を目指していますか?」「どのような働き方をしたいですか?」といった質問は、企業との方向性のマッチング度合いを見られています。
例えば、「地域医療に貢献したい」「在宅にもっと関わっていきたい」という考え方が、その企業のビジョンや方針と一致していれば、より採用の可能性は高まります。また、国が薬局や薬剤師に求める役割を理解したうえで、自分の将来像と重ねられる人は、長期的に活躍してくれる人材として高く評価されます。
薬剤師業務において大切にしていること
「仕事をする上で大事にしていることは何ですか?」という質問では、あなたの価値観や仕事への向き合い方、プロ意識が問われます。
採用担当者は、自社の理念や組織風土と合うかどうかを見極めようとしています。また、ここでもやはり、国が薬局や薬剤師に求める方向性を理解しているかどうかも重要なポイントです。患者さまとの接し方や、地域との関わり方など、日々の業務に対して自分なりの考えを持っていることが伝わると好印象です。
《転職コンサルタントに聞く》転職を成功させるためのポイント

薬剤師の転職は求人数が多い一方で、自分に合った職場を見つけるためには「戦略的な準備」が欠かせません。ここでは、転職を成功させるための5つのポイントをご紹介します。
希望条件を3つの軸で整理
転職を成功させるためには、ご自身の軸を明確にしておくことが非常に重要です。特に、「業務内容・働き方・環境」の3つの視点で整理しておくと、応募先とのミスマッチを防ぎやすくなります。
例えば、「業務内容」であれば、外来調剤中心か在宅対応ありか、専門科目のスキルを活かせるかといった点を明確にします。「働き方」では、夜勤の有無やシフト制か否か、時短勤務や週休制度など、ライフスタイルとの両立がしやすいかを確認することが大切です。そして「環境」では、教育体制やサポートの有無、職場の雰囲気やチームの人間関係など、長く安心して働けるかを判断しましょう。
このように軸を整理することで、求人選びの際に「譲れない条件」と「妥協できる条件」が明確になります。結果として、応募先への動機や志望理由にも一貫性を持たせやすくなり、履歴書や面接で説得力のあるアピールが可能になります。
また、軸が定まっていれば、複数の求人を比較した際にも判断がしやすくなり、迷いが減るだけでなく、転職後の満足度向上にもつながります。自分にとって何を最優先にするのかを言語化することが、納得感のある転職活動の第一歩です。
徹底した情報収集
業務内容や業務量、職場環境を把握することが、転職を成功させるためには重要な要素です。しかし、求人票には記載できる情報が限られているため、記載内容だけで判断するのではなく、できるだけ多角的に情報を集めることがポイントです。
例えば、以下のような項目は実際に働いてみないとわかりにくい部分ですが、転職前に把握しておくことで入職後の「想定と違った」を防げる可能性があります。
- 実際の1日の業務の流れ(調剤、服薬指導、在宅などの割合)
- 処方箋の応需内容(科目や枚数、傾向)
- ピーク時の忙しさや業務分担の状況
- 人間関係・職場の雰囲気(離職率、スタッフの構成)
- システム面(レセコンや電子薬歴の有無、ITリテラシーの必要度)
- 教育・研修体制(中途入社者へのフォロー体制)
こうした情報は、現場に足を運んでいるコンサルタントに聞いてみたり、可能であれば実際に職場を見学したりすることで、求人票以上の実情を知るヒントとなります。
特に入職後に「想定と違った」と感じるケースは、情報不足が原因になっていることが多いため、情報収集は慎重に、そして具体的に調べるようにしましょう。
応募先によって強みの伝え方を調整
スキルや経験、強みをどう伝えるかによって、採用担当者への印象が変わる可能性があります。同じ経験でも、職場ごとにアピールすべきポイントは異なるため、履歴書・職務経歴書・面接での伝え方を工夫することが大切です。
例えば、「服薬指導スキル」一つをとっても、調剤薬局では高齢者など患者さまの背景や立場に合わせてわかりやすく伝える力が重視されますが、病院ではチーム医療で多剤併用対策など薬剤師としての役割を果たす力が評価されることがあります。
また、「傾聴・共感力」や「コミュニケーション力」は、地域密着型の薬局では患者さまとの信頼関係構築のために重要で、在宅業務がある職場ではご家族や介護者とのやりとりも含めた総合的な対人スキル・対応力が求められます。
さらに、「疾患・薬剤に関する知識のアップデート力」や「論理的な説明力」といったスキルは、DI(ドラッグインフォメーション)業務や教育担当、新薬対応など専門性が求められる場面で強みとして活かすことが可能です。
このように、応募先の求める人物像にあわせて、自身のスキルや経験のどの部分をどう強調するかを見極めることが重要となります。
資格を取得する・実務経験を積む
薬剤師資格に加えて、追加で資格(ダブルライセンス)を取得することは、ご自身の専門性の向上だけではなく、成長意欲が伝わる根拠になったり、年収アップにつながったりする可能性があります。以下に代表的な資格とその特徴を示します。
認定薬剤師
「特定の専門分野で高度な知識や技術を取得している薬剤師」を指します。
認定薬剤師には「研修認定薬剤師」や「がん薬物療法認定薬剤師」、「緩和薬物療法認定薬剤師」、「感染制御認定薬剤師」、「漢方・生薬認定薬剤師」など様々な種類があります。
これらの資格を取得することで、専門性のある薬剤師としての信頼や評価が高まり、将来的なキャリアの幅が広がります。職場によっては資格手当が支給されるケースもありますが、あくまで薬剤師としての土台を築く一歩として捉えることが大切です。
専門薬剤師
「特定分野の専門知識および技術をもつ薬剤師」を指します。
認定薬剤師との違いとして、専門薬剤師は多くの場合、認定薬剤師であることが資格取得の前提となります。専門とする分野は認定薬剤師とはやや異なり、いずれか一方の資格しか存在しない分野もあるため、どのようなキャリアを目指すかに応じて選択すると良いでしょう。
年収アップに関する期待値としては、認定薬剤師と同様に手当が支給される可能性があるほか、大病院の専門部署や製薬企業などへの転職といったキャリアアップの幅を広げることにもつながりやすくなります。
専門薬剤師とは?転職に活かせる人気の資格や取得方法について詳しく解説
認定実務実習薬剤師
「6年制薬学部で行われる実務実習で指導を担う薬剤師」を指します。
調剤薬局や病院などの医療現場で薬学生の実務指導の役割を担うこともあるため、手当支給など年収アップにつながることもあります。なお、人材育成に力を入れている職場への転職においてもアピールポイントになるでしょう。
転職コンサルタントを活用する
転職活動を行うにあたって、転職の軸の整理や情報収集、今後のキャリアを見据えた資格取得の見極めが難しいと感じる方は、転職コンサルタントを活用するのも一つの方法です。ここでは、ファルマスタッフのサポート内容を例に、転職コンサルタントを活用するメリットをご紹介します。
1.自己分析をサポート
「大切にしている価値観」や「課題の本質」を一緒に深掘りすることで、今まで気が付かなかった思いに気づいたり、自身のことを客観的に振り返ったりすることができ、より深い自己分析につながります。
表面的な希望条件をピックアップするだけではなく、「なぜその希望条件なのか」「今抱える問題をなぜ解決したいと感じているのか」といった本質を探ることで、新たな選択肢が見えてくるかもしれません。
2.希望に沿った求人探しをサポート
「条件に合う求人が見つからない」「忙しくて探す時間がない」といった方にとって、転職コンサルタントは心強い味方です。希望の働き方や将来像をもとに、求人票をピックアップしご提案します。
子育てなどのご家庭の事情がある方や、多忙な職場で働いている方にとっても無理なく情報収集ができる点は大きなメリットです。
3.市場価値やキャリアの方向性を客観的にアドバイス
「このままのキャリアでいいのか不安」「もっと自分に合った働き方があるのでは」などの悩みを抱える方には、転職支援のプロの視点から今の市場価値や適性を踏まえてアドバイスいたします。自分では気づけなかった選択肢が見つかるなど、キャリアの幅が広がる可能性もあるでしょう。
4.求人票だけではわからない情報の提供
求人票だけでは、職場の雰囲気などは見えにくいものです。ファルマスタッフは、全国12拠点を構えており、エリア情報を詳しく把握しています。また、各店舗ごとの特徴なども適宜情報収集をしており、"リアルな情報"を提供できるよう努めているため、転職後の「想定と違った」を防ぎやすくなります。
5.応募書類作成・面接対策のサポート
履歴書や職務経歴書の書き方、面接の受け答えを一緒に考えてくれるので、初めての転職でもしっかりと準備をすることができます。また、面接日の調整や、ご希望によって可能な限り面接同行も行っており、安心して転職活動に望めるようにサポートします。
6.入職までの手続きをサポート
内定後の条件交渉や入職日の調整、退職までの流れについてのアドバイスまで、入職が完了するまで丁寧にサポートします。また、転職先が決まった後やご入職後に不安を感じる場合も、ご相談を受け付けています。
【まとめ】経験やスキルを磨き、自身にあったキャリア選択をすれば、薬剤師の転職は決して厳しくない

医療制度の変化やDX化による役割の変化、薬剤師数の増加といった背景から、薬剤師の転職市場は「厳しさ」を増している部分があります。しかし、在宅医療や地域連携、AIシステムへの対応力など、時代のニーズに合ったスキルや実績を積み重ねていけば、年齢を問わず求められる存在になることは十分に可能です。
一方で、自身のキャリアやスキルに自信が持てない方にとっては、「どの方向に努力すべきか」「今後どのような経験が評価されるのか」といった判断が難しい場面もあるでしょう。自分1人では判断ができない時は、転職コンサルタントを活用し、自分に合ったキャリアの選択肢を見つけることも一つの手段です。
ファルマラボ編集部
「業界ニュース」「薬剤師QUIZ」 「全国の薬局紹介」 「転職成功のノウハウ」「薬剤師あるあるマンガ」「管理栄養士監修レシピ」など多様な情報を発信することで、薬剤師・薬学生を応援しております。ぜひ、定期的にチェックして、情報収集にお役立てください。
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