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  • 公開日:2025.09.11

薬局を開業するには?資金目安や許可申請についても解説【薬剤師向け】

薬局を開業するには?資金目安や許可申請についても解説【薬剤師向け】

薬剤師として働いている方の中には、将来自分で調剤薬局を開業したいと考えている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、薬剤師が調剤薬局を開業する方法や必要な費用、許可申請について、詳しく解説します。さらに、「経営者と勤務薬剤師の責任範囲や役割の違い」「開業を成功させた薬剤師に共通する特徴」も紹介します。

これから独立開業を目指す方にとって、具体的なイメージを持つための参考になれば幸いです。

薬剤師が調剤薬局を開業する方法

調剤薬局の写真

調剤薬局を開業するには、以下4つの方法が考えられます。

  • M&Aを利用する
  • フランチャイズ制度を利用する
  • 独立支援制度を利用する
  • 新規で独立開業する

どの方法を選ぶかによって、必要な準備や資金、開業後の働き方、経営の自由度などが変わります。それぞれの特徴を理解し、自分の理想とするキャリアプランや経営スタイルに合った方法を検討しましょう。

M&Aを利用する

調剤薬局を開業する方法の一つとして、M&Aの利用が挙げられます。M&Aは、「Mergers and Acquisitions」の略称で、企業の合併や買収を指します。調剤薬局におけるM&Aでは、譲受を希望する個人や企業に、調剤薬局の事業または経営権を譲渡・承継することをいいます。M&A仲介会社から、調剤薬局の売却を希望するオーナーを紹介してもらい、条件交渉を経て、企業譲渡が完了します。

後継者がおらず事業承継したい、事業を立て直したい、という売却を希望する調剤薬局のオーナーと、買い手のニーズがマッチすれば、調剤薬局から事業または経営権を買い取って開業することが可能です。

すでに店舗や調剤機器、備品、従業員などが整っている状態から事業を引き継げるケースも多いため、マネジメントや経営判断の難しさはあるものの、収益の再現性を確保しやすく、比較的早期にビジネスを軌道に乗せやすい点がメリットと言えるでしょう。

一方で、M&Aを利用した調剤薬局の開業には、買収に関する専門的な知識(契約や法務、財務の理解)や、薬局経営に関する知見が必要です。また、薬局を買い取るための資金負担が大きくなる傾向があり、その分リスクも伴うため、難易度はやや高い開業方法とも考えられます。

フランチャイズ制度を利用する

フランチャイズに加盟して調剤薬局を開業する方法もあります。

フランチャイズとは、加盟店として本部と契約を結び、本部から経営ノウハウやサポート、商品などの提供を受ける代わりに、対価として加盟店が本部にロイヤリティを支払う仕組みです。未経験の方でも比較的開業しやすい方法と考えられます。

ただし、フランチャイズに加盟して調剤薬局を開業した場合、売上総利益のすべてを自分で受け取れるわけではありません。決められた割合のロイヤリティを本部に支払う必要があります。また、店舗の経営状況に関わらず、決められた金額を支払わなければならないケースもあるため、収益率に影響を及ぼす可能性があります。

フランチャイズを利用すれば、本部がこれまで調剤薬局経営で培ってきたノウハウを学べるほか、本部がまとめて医薬品を仕入れることもあり、仕入れ費用を安く抑えられるといったメリットもあります。

独立支援制度を利用する

近年では、調剤薬局の開業を目指す薬剤師に対して、開業準備や各種手続きなどを総合的にサポートする独立支援制度を提供する企業も増えています。

具体的には、まず希望者が独立支援制度を有している調剤薬局に就職し、実際に働きながら経営ノウハウなどを学び、経験を積みます。その後、屋号や商標をそのまま使う許可を得たり、独立に必要な資金や人材の提供を受けたりして開業する流れとなります。

この制度を利用する場合、開業までに時間がかかってしまう可能性があります。しかし、開業に関わる工程を一貫してサポートしてもらえるほか、資金や人材の支援を受けることで初期費用を抑えることができます。

「資金や経験が不足している」「自分に開業できるか不安」などの理由から開業に踏み出せない方にとっても心強いでしょう。

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新規で独立開業する

上記で説明した方法のほかに、一から自力で調剤薬局を独立開業・運営する方法もあります。

調剤薬局の独立には、物件探しから事業計画、資金調達、許可申請、内装工事、人材確保、保険薬局指定申請、営業時間や定休日の設定など、さまざまな準備や手続きが必要となり、基本的にそれらをすべて自分で行わなければなりません。

そのため、コストとリスクが大きいですが、営業利益を得やすいというメリットがあります。また、営業日や薬局の方針も自分で決められるため、働き方の自由度が比較的高いでしょう。自分の理想の調剤薬局を作りたい方に向いていると言えます。

調剤薬局の開業に資金はどれくらい必要?全体の費用と内訳

開業資金を計算するための電卓の写真

調剤薬局の主な開業方法について説明しましたが、実際開業するには、どれくらいの費用を用意する必要があるのでしょうか。

開業する方法によって必要な費用は異なりますが、調剤薬局を新規で独立開業する場合、一般的な費用の相場は1,500~3,000万円程度とされています。ただし、この金額は立地や薬局の規模などによって変動します。

薬局を開業するためには、調剤設備や備品の購入、薬剤の仕入れなどの初期費用だけでなく、運転資金も含めた費用の調達が必要となります。

ここでは、調剤薬局の開業に必要な費用の内訳についてご紹介します。

設備・備品資金

店舗用物件を取得する費用に加えて、外装・内装の工事費、機器や備品の購入費など、店舗を構えるためには「設備・備品資金」が必要です。

開業する薬局の立地や物件の状態、導入する設備によって異なりますが、一般的に以下の費用がかかります。多額の費用が必要ですが、居抜き物件や中古の設備、リース品を活用することで、初期費用を抑えられる場合もあります。

物件取得費用

店舗を新規で建築する場合は、土地の購入費用と建築費が必要です。物件を借りる場合は、賃料のほか、敷金・礼金や不動産会社へ支払う仲介手数料、保証会社へ支払う保証金などの費用が必要となります。土地の費用や賃料は、都市部か地方かなど開設する場所によって大きく異なります。

外装・内装工事費

看板設置などの外装工事や、受付カウンターや調剤室、待合室の内装工事のほか、電気・水道などの設備が不十分な場合は、配線・配管工事などの費用もかかることがあります。

機器・備品の費用

調剤台、分包機、電子はかり、メスシリンダー、乳棒、乳鉢、軟膏壺、スポイト、投薬瓶など、調剤薬局の運営に必要な機器・備品の購入費がかかります。また、レジシステム、レセコン、オンライン資格確認システムなどの導入費用も考慮する必要があります。

開業資金

「開業資金」は、会社設立に必要な法定費用や薬剤の初期仕入れ、人材採用など、調剤薬局を開業する前に必要となる資金です。

資本金

会社を運営するためには、元手となる資金を用意する必要があります。

法定費用

株式会社や合同会社を設立する際には、登記費用や定款の認証費用など、法律上支払いが必要な法定費用がかかります。また、薬局開設許可申請などの際にも手数料が必要で、自治体によって金額は異なりますが、東京都では34,100円を支払う必要があります。

印鑑費用

法人用実印・銀行印・角印の作成費用に加えて、印鑑証明の取得費用も必要です。

初期医薬品費

初期在庫として医薬品を購入する費用です。開業後に欠品しないように余裕を持って用意する必要があり、一般的に開業に備えて700~1,000品目を仕入れます。

消耗品費

薬袋や分包紙、ポリ瓶、用紙、プリンター用インクなどが必要となります。

人材採用費

薬剤師やスタッフの採用活動にかかる費用です。

運転資金

調剤薬局の開業後は、医薬品の購入費や人件費、家賃、光熱費(電気・ガス・水道など)、通信費、消耗品費など、さまざまな経費を支払う必要があります。

ただし、調剤報酬が実際に支払われるまでにはタイムラグが生じるため、キャッシュフローを確保するためにも、開業前に最低3カ月分の運転資金を用意しておくことが望ましいです。十分な運転資金がなければ、事業の継続が難しくなる可能性があります。

調剤薬局の開業に必要な許可申請や手続き

調剤薬局の開業の手続きのための書類の写真

調剤薬局を開業するにあたって、厚生局や保健所への許可申請が必要となります。これらの申請は基本的に事前申請となり、開業日が決まったら、スムーズに申請できるようスケジュールを確認し、準備を進めていく必要があります。

ここでは、調剤薬局の開業に必要な許可申請についてご紹介します。

薬局開設許可申請

薬局を開設するためには、薬機法に基づき、都道府県知事の許可を受ける必要があります。薬局の構造設備や人員配置などが法令の基準を満たしているかを調査された後に、薬局開設許可証が交付されます。調査されるポイントの例は以下の通りです。

構造設備基準の例

  • 換気が十分で、清潔であること
  • 面積は約19.8平方メートル以上で、薬局の業務を適切に行えること
  • 医薬品を陳列・交付する場所は60ルックス以上、調剤台は120ルックス以上の明るさであること
  • 調剤室の面積が6.6平方メートル以上であること
  • 調剤室の天井と床の材質が、板張り、コンクリートなどであること
  • 冷暗貯蔵のための設備があること
  • 鍵のかかる貯蔵設備があること
  • 調剤に必要な設備や器具を備えていること(液量器、温度計、水浴、調剤台、軟膏板、乳鉢及び乳棒など)

体制要件の例

  • 薬局の開店時間内は、常時、当該薬局において調剤に従事する薬剤師が勤務していること
  • 1日平均取扱処方箋数が40枚までの薬局の場合、開店時間中は、常時、少なくとも1名の薬剤師を配置していること
  • 1日あたりの薬剤師不在時間は、4時間又は当該薬局の1日の開店時間の2分の1のうちいずれか短い時間を超えないこと

人的要件の例

  • 申請者が過去3年以内に登録の取り消しや、禁錮以上の刑の執行を受けていないこと
  • 申請者は、薬局開設者の業務を適切に行うことができる知識及び経験を有すること

申請にあたっては、薬局開設許可申請書および添付資料を保健所に提出し、現地調査で構造設備や必要器具類などの確認を受けます。主な提出書類は以下です。

主な提出書類

  • 薬局許可申請書
  • 薬局の平面図
  • 登記事項証明書
  • 体制省令適合確認表
  • 勤務表
  • 管理薬剤師及び勤務薬剤師の薬剤師免許証の写し
  • 登録販売者の販売従事登録証の写し

なお、調剤薬局を開設する所在地によって添付する書類や要件が異なる場合があるため、事前に保健所の窓口で確認しておきましょう。

保険薬局の指定申請

公的医療保険の適用を受ける調剤を行うためには、地方厚生局長から保険薬局の指定を受ける必要があります。薬局開設許可証が届いた後、保険薬局指定申請書を厚生局に提出します。指定申請に必要な書類は以下の通りです。

  • 薬局開設許可書の写し
  • 保険薬剤師の氏名および登録の記号・番号を記載した書類
  • 上記の保険薬剤師以外の薬剤師の数を記載した書類
  • 土地建物登記簿謄本又は賃貸借契約書の写
  • 周辺図(近隣の医療機関の位置が分かるように記載)
  • 平面図(敷地内にあるすべての建物が分かるように記載)
  • 同一建物内のテナント名が分かる書類(雑居ビル等に薬局を開設する場合のみ)
  • 保険薬局の新規指定及び指定更新に係る確認書類
  • 在宅医療のみを実施する医療機関の指定に係る確認様式(在宅医療のみを実施する保険医療機関の場合のみ)
  • オンライン資格確認の導入計画書
  • 受付番号情報提供依頼書兼回答書の写

その他に必要となる許可申請や手続き

調剤薬局の開業には、前述した申請以外にも、取り扱う商品や業務内容により申請や手続きが必要となることがあります。薬局開設に関連する許可や申請について下記にまとめましたので、参考にしてください。

薬局開設に関連する許可・申請
取り扱う商品や業務内容により
必要な申請
・薬局製造販売医薬品製造業許可申請
・薬局製剤製造販売届
・毒物劇物販売業の登録
・麻薬小売業者免許
・高度管理医療機器販売業の許可申請
公費指定のために必要な申請 ・生活保護法等指定医療機関申請
・生活保護法指定介護機関指定
・介護保険・居宅療養管理指導指定申請
・労災保険指定薬局の申請
・指定自立支援医療機関(更生医療・育成医療)指定申請
・指定自立支援医療機関(精神通院医療)指定申請
・結核指定医療機関指定申請
・被爆者一般疾病医療機関指定申請
・難病指定医療機関申請
・指定小児慢性特定疾病医療機関指定申請

このように、薬局開業に必要な許可申請は多く、手続きや準備に相当な時間がかかります。そのため、スケジュール管理をしながら計画的に行うことが重要です。

【調剤薬局を開業すると何が変わる?】経営者と勤務薬剤師の違い

調剤薬局を開業した薬剤師の写真

調剤薬局の開業を検討する際、「本当に独立して大丈夫だろうか」と不安に感じる方もいるでしょう。開業に迷いや不安を抱えている方は、勤務薬剤師と経営者の具体的な違いを理解した上で判断することが大切です。

ここでは、調剤薬局を開業した後に、どのような変化があるのか解説します。主な違いは以下の通りです。

勤務薬剤師と経営者の違い

項目 勤務薬剤師 経営者
主な業務範囲 調剤業務 調剤業務+経営全般
責任範囲 店舗内業務 売上、経費、雇用、資金繰りなどすべて
働き方 決められたシフト・業務 自分で設計
人間関係 店舗内スタッフ中心 ドクター・薬剤師・金融機関など外部も
得られるスキル 調剤スキル全般 経営・マーケティング・組織運営など

役割の違い

調剤薬局の経営者となった場合、調剤業務に加えて以下のような仕事も日常業務の一部になります。経営者は、勤務薬剤師よりも業務の範囲が広がり、同時に責任の重さも増す点が大きな変化と言えます。

勤務薬剤師と経営者の違いを図式化

考え方の違い

経営者になると、店舗単位ではなく「会社全体」や「業界全体」を見渡す視点が重要となります。具体的には、以下のような考え方が必要になることがあります。

  • 「自分の収入」よりも「会社の利益・事業の継続性」を重視するようになる
  • 1店舗経営か、複数店舗展開を目指すのかという事業戦略の選択が求められる
  • 店舗内のマネジメントだけでなく、外部(行政・医師・他企業)との関係構築が重要になる
  • 医療制度改革や薬価改定など、業界全体の動きにアンテナを張ることが求められる

開業すると、勤務薬剤師の頃と比べて働き方の自由度が増し、身につけられるスキルの幅が広がり、年収アップの可能性も高まります。一方で、会社経営の責任を自ら背負う立場になることは十分に理解しておく必要があります。

調剤薬局の開業を成功させた人の特徴とは?

調剤薬局の開業を成功させた薬剤師の写真

調剤薬局の開業を目指す方にとって、「どのような人が実際に開業できているのか?」「自分にもできるのか?」は気になるポイントではないでしょうか。ここでは、開業できた人の共通点や、開業を成功させるための具体的な準備・行動について詳しく解説します。

調剤薬局の開業を成功させた人の特徴

調剤薬局の開業を成功させている人たちには、共通する考え方や行動パターンが見られることがあります。ここでは、開業を実現し、軌道に乗せている薬剤師たちに多い特徴を紹介します。「自分に当てはまるか?」を確認しながら、今後の準備や行動にご活用ください。

30代~40代前半に開業した

30代~40代前半は、一定の実務経験とマネジメント経験を積んでいる方が多くなるため、開業に踏み出す人が多く見られます。40代後半以降で開業する場合は、現場の運営をスタッフに任せ、自身は経営に専念するパターンも多く見られます。

コミュニケーション力・対人力がある

調剤薬局の経営者に求められる資質のひとつが、高いコミュニケーション力と対人スキルです。なかでも重要なのが、医師との信頼関係を築けるかどうかです。例えば、処方箋の受け取りや疑義紹介など、日々の業務の中で医師と良好な関係を保つことは、薬局を運営する上で大切な要素の一つです。

また、患者さまや地域の薬剤師会、卸業者、行政など、多くの関係者とやりとりする場面も多くあります。そのため、医療の知識だけではなく、ビジネスの視点も持ち合わせた対人力が重要となります。

マネジメント業務の経験がある

開業に向けて重要なのは、店舗運営・売上管理・人材管理の経験を積んでいることです。管理薬剤師としての経験は大きな強みですが、それだけではカバーしきれない部分もあります。例えば、スタッフ育成や売上分析、シフト作成など、日常的なマネジメント業務を実際に担っていると、開業後に役立ちます。

独立支援制度のある企業で経験を積む

最近では、薬剤師の独立を支援する制度を導入している調剤薬局も増えています。「独立支援制度」とは、実際に店舗運営を経験しながら、経営の知識・現場スキルを習得し、開業時に物件選定・資金調達・契約までも支援してくれる制度のことです。

このような企業に就職・転職して開業準備を進めるのも、現実的なステップの一つと言えます。初めての開業にはリスクも伴うため、独立支援制度のある環境で準備を整えておくことが成功率を高める鍵となるでしょう。

調剤薬局の開業に向けたキャリアとは?

調剤薬局の開業を成功させた人の多くは、開業前に戦略的なキャリアを歩んでいます。必要なノウハウや人脈、資金を得るために、どのようなキャリアデザインを描くのがよいか、具体的に見ていきましょう。

独立支援制度のある企業に転職する

独立支援制度を導入している調剤薬局への転職は、開業を視野に入れている方にとって有効な選択肢の一つです。独立支援制度がある調剤薬局には、主に以下の2つのパターンがあります。

パターン1:ベンチャー型の調剤薬局

  • オーナー自身が独立開業を経験している
  • 経営者目線のリアルなノウハウを、社長が直接教えてくれる
  • 仲間を増やすことに意欲的で、密なサポートを受けやすい

パターン2:多店舗展開型の大手調剤薬局

  • 40〜100店舗以上を展開している企業で、店舗拡大戦略に沿って独立を支援
  • 企業で用意された物件や開業案件を引き継げる場合もある
  • 法務・経理・人事などバックオフィスの支援体制も整っている

どちらのパターンも、「いきなりの独立は不安...」という方にとって、着実にステップアップして開業できるため心強いでしょう。

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複数の企業・調剤薬局を経験して視野を広げる

1つの企業・店舗だけに長く勤めていると、その企業特有のやり方に偏りがちです。開業を目指すなら、さまざまな調剤薬局や企業で働き、多様な運営スタイルを経験することも役立ちます。特に以下のような経験は、開業後の柔軟性を身に付けられるでしょう。

  • 保険薬局・ドラッグストア・在宅専門薬局など異なる形態
  • 個人経営と法人経営の経験
  • 複数店舗管理やエリアマネジメントの経験

また、派遣薬剤師として複数の職場で働くのも一つの方法です。さまざまな現場での知見を積むことで、開業後に目指す調剤薬局のイメージを具体化しやすくなります。

後継者候補として転職する

高齢の経営者が運営する調剤薬局では、「後継者候補」としての採用枠が存在することがあります。このような薬局に転職し、信頼関係を築いた上で店舗や事業そのものを譲り受けるケースもあります。メリットとして以下が挙げられます。

  • 店舗・患者層・スタッフがすでに確保されている
  • 開業時の初期費用を抑えられる
  • 経営移行期間にオーナーから直接学べる

ゼロから始めるよりもリスクが低く、現実的な選択肢の一つです。

資金を貯めるために転職する

調剤薬局の開業には、多くの資金が必要です。そのため、まずは開業資金を貯めることを目的として、以下のような転職を検討するのもよいでしょう。

  • 地方の調剤薬局に転職して、高年収を狙う
  • 管理薬剤師やマネージャー職に就いて、年収を上げる
  • 土日夜間も対応する調剤薬局で、給与アップを狙う

「今すぐ開業はできないが、資金を準備したい」という段階にある方は、まず年収アップを目指した転職で資金力を養うのも一つの方法です。

このように、薬局開業を見据えたキャリアは、複数の戦略が考えられます。現在の状況や将来ビジョンに応じて、自分に合ったキャリアを考えてみるとよいでしょう。

調剤薬局の開業を目指すなら計画的な準備が重要

開業を目指す薬剤師の写真

薬剤師が独立開業して調剤薬局を経営すると、自由度や裁量、収入の向上といった多くのメリットを得やすくなります。一方で、大きな責任を自分で負う立場になるため、慎重な準備と判断が重要です。

調剤薬局を開業する方法には、M&A・フランチャイズ・独立支援制度・完全独立など複数の選択肢があります。それぞれの方法によって必要な費用やリスクの大きさも異なります。さらに、店舗取得・内装・設備投資・人材確保・各種許可申請・資金調達など、やるべきことは多岐にわたり、相応の時間と労力が必要です。

開業後は、経営者としての責任を果たしながら、医療業界全体の動きに目を向けたり、外部との関係を築いたりすることも求められるため、広い視野と実行力が重要になります。

このような背景から、できる限り早い段階で「どのような開業方法が自分に合っているのか」「そのために何が必要か」を明確にし、逆算して計画的に行動することが成功への第一歩となります。

将来の開業に向けたキャリアプランを考えたい場合は、ぜひ転職コンサルタントにご相談ください。

ファルマラボ編集部

「業界ニュース」「薬剤師QUIZ」 「全国の薬局紹介」 「転職成功のノウハウ」「薬剤師あるあるマンガ」「管理栄養士監修レシピ」など多様な情報を発信することで、薬剤師・薬学生を応援しております。ぜひ、定期的にチェックして、情報収集にお役立てください。

記事掲載日: 2025/09/11

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