服薬指導に活かす医薬品情報

ベルソムラ錠

Q

何のお薬?用法・用量は?

A

適応は不眠症です。入眠に至るまでの時間短縮と、睡眠時間を延長する効果があります。通常、成人には1日1回就寝直前に20mgを経口投与します。高齢者では1日1回15mgを就寝直前に経口投与します。

Q

使用上の注意点は?

A

本剤を食後に投与すると、空腹時投与に比べてTmaxの遅延(1~1.5時間)が認められ、投与直後の血漿中濃度が低下し入眠効果の発現が遅れる可能性があります。


またCYP3Aを阻害する薬剤(ジルチアゼム、ベラパミル、フルコナゾールなど)と併用した場合、ベルソムラの血漿中濃度が上昇して傾眠などの副作用が増強される恐れがあります。そのため、CYP3Aを阻害する薬剤と併用する場合は、1日1回10mgへの減量を考慮するとともに、患者さまのご家族などに日常生活の状態を観察するよう依頼する必要があります。


その他の注意点として、ナルコレプシー又はカタプレキシーのある患者さまや、高齢者、重度の肝障害のある患者さま、重度の呼吸機能障害を有する患者さま、脳に器質的障害のある患者さまには慎重投与となっています。

Q

作用機序は?

A

視床下部に局在するニューロンに発現しているオレキシンは、覚醒/睡眠を調整する重要な神経伝達物質です。本剤は2種のオレキシン受容体(OX1R及びOX2R)の選択的拮抗薬として可逆的に作用し、オレキシンニューロンの神経支配を受けている、覚醒に関与する神経核を抑制することにより睡眠を誘発します。

Q

注意すべき副作用は?

A

発現頻度が1~5%未満である主な副作用は、疲労、傾眠、頭痛、浮動性めまい、悪夢などです。

Q

併用禁忌・併用注意は?

A

CYP3Aを強く阻害する薬剤(イトラコナゾール、クラリスロマイシン、リトナビルなど)は併用禁忌です。外国人の健康成人を対象とした試験で、本剤4mgを単回服用させ、CYP3Aを強く阻害するケトコナゾール(400mg1日1回経口反復)を併用した際、本剤のCmaxの上昇は23%とわずかでしたが、AUCが179%と顕著に上昇したためです。併用注意は中枢神経抑制剤(フェノチアジン誘導体など)とCYP3Aを阻害する薬剤(中程度以下の阻害:ベラパミルなど)CYP3Aを強く誘導する薬剤(リファンピシンなど)、ジゴキシンなどです。これらの薬剤との併用により相互に作用が増強したり、本剤の作用が増強したり、併用薬の血漿中濃度が上昇するなどの恐れがあります。

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派遣薬剤師のススメP
掲載日: 2020/05/28
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