服薬指導に活かす医薬品情報

ベピオゲル

Q

何のお薬?用法・用量、使用上の注意点は?

A

適応症は「尋常性ざ瘡」です。1日1回洗顔後、患部に適量を塗布します。使用時間帯の指定はありませんが、反復塗布により紫外線照射に対する皮膚の忍容性が減少することや、日光曝露によって皮膚刺激性が増悪する可能性があり、使用中は日光への曝露を最小限にとどめる必要性があることから、夜の使用が適していると考えられます。凍結を避け、25℃以下に保存します。

Q

尋常性ざ瘡の薬物治療の問題点

A

従来より外用及び内服抗菌薬が用いられてきましたが、これらの薬剤の長期使用による薬剤耐性菌出現が問題視されています。既に欧米等の諸外国では尋常性ざ瘡患者さまから薬剤耐性菌の分離が報告されており、日本でもP. acnesの薬剤耐性株が徐々に増加しているとの報告があるようです。

Q

作用機序と治療の位置づけは?

A

ニキビの原因菌P. acnesは嫌気性菌(酸素がない環境でしか生息できない細菌)です。本剤は強い酸化作用をもち、容易に分解してフリーラジカルを生じるため、P. acnes に対して抗菌作用を示します。2018年時点で本剤に対する耐性菌は見つかっておらず、耐性菌を作らない抗菌作用を持つ薬剤と位置づけられています。更に角質細胞同士の結合を弛め、角層剥離を促し、毛穴の閉塞を改善すると考えられています。国内臨床試験では52 週間投与終了時の炎症性皮疹と面皰の減少率は75.0%と76.6%であり、長期にわたる有効性が示されました。

Q

注意すべき副作用は?

A

塗布部位の乾燥、刺激感、痒み、剥脱、紅斑等の症状が、使用開始1ヶ月後までに高頻度で出現します。症状は一時的であり次第に治まることが多いこと、塗布前に保湿することで予防できることを予め患者さまに説明しましょう。

Q

塗り方は?

A

症状により塗る部位や量が異なるため、医師の指示を確認します。炎症性皮疹や面皰の周囲には肉眼で見えない微小面皰が発生しているため、その周辺にも塗り拡げると新たな皮疹や面皰の予防効果が期待できます。ただし刺激感等の副作用軽減のため、まず炎症部位を中心に部分的に塗布し、様子を見ながら周囲に徐々に塗り拡げるよう指示する場合もあるようです。顔全体に塗る場合は1FTU(約0.5g)を指に取り、左額、右額、左頬、右頬、鼻、顎の6ヶ所に置き、塗り拡げます。擦り込まずにやさしく伸ばすように塗ります。


なお、外用抗菌薬は炎症部位に局所的に塗布するのが基本であり、併用する場合は先に本剤を塗り、その上から抗菌薬を重ねて塗ります。

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派遣薬剤師のススメP
掲載日: 2020/06/11
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