服薬指導に活かす医薬品情報

ピートル顆粒分包

Q

何のお薬?用法・用量、注意すべき副作用は?

A

透析においてリン(以下P)のコントロールは血管の石灰化や生命予後に大きく関与すると考えられています。透析状態ではPの代謝異常のために高P血症を示すことが多く、P値を是正するためピートルを含む高リン血症治療剤が投与されます。

ピートル顆粒分包は通常、成人には鉄として1回250mgを開始用量とし、1日3回毎食直前に経口投与します。以後、症状、血清P濃度の程度により適宜増減しますが、最高用量は1日3000mgです。増量は鉄として1日あたりの用量で750mgまでとし、1週間以上の間隔をあけて行います。血清P濃度の確認は開始時および変更時には1~2週間後に行うことが望ましいとされています。下痢の副作用が多いため注意が必要です。

Q

作用機序は?

A

ピートルの有効成分であるスクロキシ水酸化鉄は、多核性の酸化水酸化鉄にスクロースとデンプンが結合しています。消化管にてスクロースとデンプンが消化された後、酸化水酸化鉄(Ⅲ)の配位子とリン酸が結合することで、消化管におけるリン吸収を抑制します。現在のリン吸着薬の作用機序はこのリン吸着による消化管吸収の抑制です。

Q

類似した薬剤とその使い分けは?

A

沈降炭酸カルシウム(商品名:カルタン)は、食直後に服用することでPの吸着を行います。他剤にくらべ消化器系の副作用が少ないことや安価であることなどが特徴です。透析だけでなく保存期の腎不全に対しての保険適応があります。

炭酸セベラマー(商品名:フォスブロック、レナジェル)食直前に服用をします。透析を受けている患者さまの高P血症が適応で、Caを含まないため血清Ca値が高い患者さまにも使用可能です。便秘や腹部膨満感などの消化器症状が多いため注意が必要です。脂質異常に対する効果も検討されており、長期間(1年以上)の投与でnon-HDLコレステロールが低下したとの報告があります。

炭酸ランタン(商品名:ホスレノール)食直後に服用をします。炭酸カルシウムに比べて高いP吸着能を持ちますが、吐き気、嘔吐などの消化器症状に注意が必要です。

ビキサロマー(商品名:キックリン)食直前に服用をします。腹部での膨張が少ないことから、便秘などの副作用が比較的少ないとされています。

クエン酸第二鉄(商品名:リオナ)食直後に服用します。鉄を含み腸管粘膜への刺激による下痢黒色便が起きることがあります。ピートルも同様です。

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派遣薬剤師のススメP
掲載日: 2020/10/08
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