服薬指導に活かす医薬品情報

ミニリンメルトOD錠

Q

何のお薬?処方目的は?

A

25、50µgの適応症は「男性における夜間多尿による夜間頻尿」です。
夜間頻尿の原因が夜間多尿のみであること、夜間多尿の原因となる疾患が認められた場合はその治療を優先すること、飲水制限等を行った上で、夜間多尿指数※が33%以上、かつ夜間排尿回数が2回以上の場合に本剤の使用を考慮します。 ※24時間の尿排出量に対する夜間の尿排出量の割合

夜間頻尿とは
加齢に伴い増加する下部尿路症状(LUTS)であり、排尿のため夜間覚醒することで、睡眠の質、QOL低下、さらに夜間の転倒や骨折リスク等、生命予後に影響を与えると指摘されています。

夜間頻尿に対して過活動膀胱(OAB)治療薬や前立腺肥大症(BPH)治療薬が使用されていましたが、夜間頻尿の主な要因は夜間多尿と考えられており、夜間多尿に対する治療法が望まれていました。

Q

用法・用量は?

A

成人男性には、通常、1日1回50µgを就寝前に経口投与します。飲水制限および低Na血症発現予防のための水分管理の必要性を考慮し、水なしで飲むこととされています。 過度に水分を摂取した場合や、水分補給が必要な全身性感染症、発熱、胃腸炎等の場合は服用しないよう注意します。 年齢、体重、血清Na値、心機能等から低Na血症を発現しやすいと考えられる場合には、25µgから開始することが考慮されます。

Q

製剤の特徴は?

A

本剤は口の中(舌下)に入れると速やかに溶けるようになっています。通常の錠剤に比べてやわらかく、水分と光に不安定なため、ブリスターシート包装を採用しています。裏面のシートを剥がした後、ゆっくりと指の腹で押し出し、乾いた手で使用直前に取り出します。

Q

作用機序は?

A

腎集合管細胞にて水の再吸収を促進することで抗利尿作用を呈します。

Q

警告・禁忌は?

A

警告として、抗利尿作用により過剰な水分貯留に伴う低Na血症の可能性があるため、患者及び家族へ低Na血症の発現、水分摂取管理の重要性を十分説明・指導することと記載されています。
低Na血症の既往、習慣性・心因性多飲症、心不全の既往、体液貯留の既往、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群、中等度以上の腎障害には禁忌です。


Q

注意すべき副作用は?

A

主な副作用は、血中Na減少、肝機能異常、頭痛等です。重大な副作用は低Na血症、うっ血性心不全が報告されています。低Na血症を示唆する症状として倦怠感、頭痛、悪心・嘔吐等、うっ血性心不全では下腿浮腫、急激な体重増加、労作時息切れ等に注意します。


Q

相互作用は?

A

チアジド系利尿剤、チアジド系類似剤、ループ利尿剤、副腎皮質ステロイド剤といった、併用により低Na血症が発現するおそれがあるものが併用禁忌です。その他低Na血症のリスクがある薬剤が併用注意となっています。


Q

生活指導・行動療法

A

初期治療や低Na血症を避けるために重要です。以下を参考に継続的に指導しましょう。


・夜間の飲水過多、塩分、アルコール、カフェインを避ける
・一般的に24時間尿量が約20~25mL/kgとなる飲水が適当(体重の2~2.5%/日相当)
・規則正しい就寝・起床・食事時間
・夕方・夜間に散歩やスクワット等の運動
・下肢を挙上した30分以内の昼寝や弾性ストッキングの使用 等


掲載日: 2022/01/06
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