てんかんのある患者さまに禁忌と添付文書に記載されている抗うつ薬はどれでしょうか?

Q

てんかんのある患者さまに禁忌と添付文書に記載されている抗うつ薬はどれでしょうか?

    マプロチリンの添付文書の禁忌欄には、「てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者」と記載されています。

    これは、マプロチリンの投与によりけいれん発作が誘発されたという報告があるためです。けいれん閾値の低い患者さまでは発作を起こすリスクが高まるため禁忌とされています。

    抗てんかん薬が処方されているからといって、必ずしもてんかんの治療をしているとは限りません。

    一部の抗てんかん薬は、双極性障害(躁うつ病)などの様々な適応疾患があり、適応外でうつ病に処方されることもあります。

    抗てんかん薬を服用している患者さまには、どのような疾患で服用しているのか確認してから疑義照会をするべきか判断しましょう。

    例えば、添付文書の禁忌欄に「てんかんのある患者」と記載されている薬として下記のような薬剤もあります。

    また、トラマドール含有製剤は「治療により十分な管理がされていないてんかん患者」には禁忌とされており、てんかん発作を繰り返す患者さまへの投与は避けるべき薬剤です。

    ・口腔乾燥症状改善薬
    エボサック、サリグレン(セビメリン塩酸塩水和物)、サラジェン(ピロカルピン塩酸塩)

    ・抗アレルギー薬
    ケトチフェン(ケトチフェンフマル酸塩)※既往歴も含む

    ・気分安定薬
    炭酸リチウム

    ・その他
    ベサコリン(ベタネコール塩化物)

    処方監査・服薬指導のPOINT

    マプロチリンは、てんかんの治療を受けている患者さまやけいれん発作の既往歴がある患者さまには禁忌とされています。

    そのため、てんかん治療中の患者さまにマプロチリンが処方された場合、必ず疑義照会を行ってください。

    また、マプロチリン服用中の患者さまがてんかん治療を開始する場合は、抗うつ薬の変更を検討する必要があります。

    濱本 幸広(はまもと・ゆきひろ)さん
    京都薬科大学卒、薬剤師。
    調剤併設ドラッグストア、調剤薬局、派遣薬剤師など、数多くの経験をしながら処方鑑査の腕を磨く。
    2022年10月、4分類法を活用した処方鑑査の指南書『達人の処方鑑査術』を出版、好評発売中。
    ▼運営サイト
    https://kusuri-shidousen.com
    掲載日: 2025/05/22
    ※医薬品情報は掲載日時点の情報となります

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