妊娠中のつわりによる悪心の緩和に適応外処方として使用されることがあるビタミン剤はどれでしょうか?

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妊娠中のつわりによる悪心の緩和に適応外処方として使用されることがあるビタミン剤はどれでしょうか?

    ピリドキシン(ビタミンB6)は、妊娠中のつわりによる悪心の緩和に適応外で用いられることがあります。つわりは、妊娠5週ごろから悪心や嘔吐、食欲不振、食べづわり(空腹時の吐き気)などの症状が現れる状態を言います。一般的に、妊娠12~16週頃までに自然軽快することが多いです。

    発売されているピリドキシン錠として、ビタミンB6錠「F」などがあります。また、同じくビタミンB6活性があるピリドキサール錠が使われることもあります。

    他の薬剤として、妊娠中のつわりに漢方薬(小半夏加茯苓湯や半夏厚朴湯など)や吐き気止め(メトクロプラミド、ドンペリドンなど)が使われることもあり、症状に応じてこれらの薬を併用して処方することもあります。

    参考として、妊娠悪阻(重度のつわり)で嘔吐が続き、食事や水分がとれない状態になると、ビタミンB1が欠乏し、意識障害などを引き起こす「ウェルニッケ脳症」という重篤な合併症を招く危険があります。

    ビタミンB1製剤は、このウェルニッケ脳症を予防するために不可欠なものであり、つわりの症状である悪心そのものを直接改善する目的で使われるものではありません。

    処方監査・服薬指導のPOINT

    産婦人科からビタミンB6が処方された場合、妊娠中のつわりに対する治療を目的としている可能性があります。他のビタミンB群は悪心などに効果がないため注意が必要です。

    他に服用中のビタミン剤やサプリメントがある場合は、医師にその旨を伝えているか確認しましょう。

    つわりの時期は、肉体的・精神的にストレスがかかりやすいため、患者さまの気持ちに寄り添った服薬指導が大切です。

    例えば、空腹を避けて少量をこまめに食べる、においの強い食品を控える、水分を少しずつ摂取するなど、生活習慣の工夫についても一緒にアドバイスすると良いでしょう。

    濱本 幸広(はまもと・ゆきひろ)さん
    京都薬科大学卒、薬剤師。
    調剤併設ドラッグストア、調剤薬局、派遣薬剤師など、数多くの経験をしながら処方鑑査の腕を磨く。
    2022年10月、4分類法を活用した処方鑑査の指南書『達人の処方鑑査術』を出版、好評発売中。
    ▼運営サイト
    https://kusuri-shidousen.com
    掲載日: 2025/11/13
    ※医薬品情報は掲載日時点の情報となります

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