- 公開日:2025.08.21
薬剤師の転職に年齢は関係あるの?年齢別のポイントも解説

「転職に年齢は関係するのだろうか」
「今が転職に最適なタイミングなのだろうか」
このように、転職のタイミングに不安を抱かれる薬剤師の方もいるかもしれませんが、実際はどうなのでしょうか。
結論として、薬剤師の転職において年齢が壁になることはありません。専門職である薬剤師は、年齢を重ねることで培った経験やスキルが大きな強みとなります。
本記事では、薬剤師の転職における年齢別に活かせる強みを解説します。
また、転職を成功させるためのポイントも詳しくご紹介しますので、薬剤師として転職を検討している方や、転職を始めるタイミングに迷っている方、成功の秘訣を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
- 【データでみる】薬剤師の雇用実情と転職市場
- 【業種別】薬剤師の転職と年齢別のキャリアポイント
- 【年代別】薬剤師の転職で活かせる強みと知っておきたいポイント
- 年齢に関わらず転職を成功させるためのポイント
- 薬剤師の転職は年齢に関わらずチャンスあり!ポイントを押さえて成功させよう
【データでみる】薬剤師の雇用実情と転職市場

薬剤師は国家資格が必要な専門職であり、さまざまな職場でその資格を活かして働くことが可能です。また、薬剤師の転職市場は、売り手市場とされていますが、転職のしやすさはスキルや経験によって変わることもあります。
ここでは、薬剤師の雇用実情と転職市場について、データをもとにご紹介します。
薬剤師の年齢別割合と平均年収
厚生労働省の『令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況』から薬剤師として従事する人数と割合を年齢階級別にみると、以下のようになっています。
【年齢階級別にみた薬剤師として従事する人数と割合】
| 年齢 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| 29歳以下 | 40,018人 | 12.4% |
| 30〜39歳 | 82,083人 | 25.4% |
| 40〜49歳 | 73,232人 | 22.6% |
| 50〜59歳 | 64,765人 | 20.0% |
| 60〜69歳 | 44,598人 | 13.8% |
| 70歳以上 | 18,994人 | 5.9% |
年齢別にみると、30〜39歳の薬剤師が最も多く、全体の25.4%を占めています。
また、薬剤師は待遇がよく高収入であるというイメージがありますが、厚生労働省の『令和6年賃金構造基本統計調査』によれば、薬剤師の平均年収は599.3万円で、男性薬剤師の平均年収は651.1万円、女性薬剤師の平均年収は555.8万円と報告されています。
薬剤師の年齢別の平均年収は、以下のとおりです。
【薬剤師の年齢別平均年収】※
| 年齢 | 平均年収 |
|---|---|
| 20~24歳 | 399.9万円 |
| 25~29歳 | 509.0万円 |
| 30~34歳 | 564.4万円 |
| 35~39歳 | 614.1万円 |
| 40~44歳 | 646.1万円 |
| 45~49歳 | 667.2万円 |
| 50~54歳 | 744.7万円 |
| 55~59歳 | 709.2万円 |
| 60~64歳 | 685.2万円 |
| 65~69歳 | 559.4万円 |
| 70歳以上 | 465.9万円 |
※平均年収は「きまって支給する現金給与額」の12カ月分と「年間賞与その他特別給与額」を合算して算出。
このデータから、薬剤師の年収は20代から50代にかけて年齢とともに上昇する傾向があることがわかります。
特にこれまで多くの経験を積んできた方は、即戦力として高く評価され、年収にも反映されやすいでしょう。
また、60代以降は、これまでの働き方から柔軟な雇用形態へと移行する方が増え、それに伴い年収が変動することがあります。
しかし、長年の経験と知識はどの職場でも貴重な財産であり、その価値がなくなるわけではありません。
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2024年の転職動向
より良い職場を求めて転職を考える薬剤師の方は多くいらっしゃいます。
自身の年齢がキャリアチェンジの機会を制限するのではないか、と不安に感じる方も少なくありません。
しかし、ファルマスタッフに登録している薬剤師の動向では、2024年に転職した方は特定の年代に偏ることなく、20代から60代以上まで、幅広い世代にわたっています。
薬剤師が転職を考える理由は、一人ひとり異なります。
主な動機として、給料の増加、希望する勤務地への移動、専門性の向上や管理職を目指すためのキャリアアップ、そして結婚・育児・介護といったライフスタイルの変化に合わせたワーク・ライフ・バランスの改善などが挙げられます。
【業種別】薬剤師の転職と年齢別のキャリアポイント

薬剤師には病院や薬局、ドラッグストアなどさまざまな勤務先がありますが、転職や就職の際に年齢が影響するのか気になる方もいることでしょう。
結論として、薬剤師の転職において、年齢によって求められる経験やスキルが変わってくることがあります。
ここからは、業種別にみる薬剤師の転職における年齢別のポイントについて説明します。
調剤薬局
調剤薬局の薬剤師は、処方箋に基づく調剤や薬歴管理はもちろんのこと、近年ではかかりつけ薬局として服薬指導や相談対応、在宅医療への対応など、業務の幅を広げています。
調剤薬局への転職は、年齢を問わず幅広い層にチャンスがありますが、30代・40代は特に これまでの経験やスキルを活かして即戦力となることが期待されやすい年代です。
ただし、希望する薬局の規模や採用方針によって、求められる人物像にはやや違いがあります。
ファルマスタッフの動向では、調剤薬局への転職は20代の割合が増加傾向にあります。
しかし、30代後半から40代についても、転職者の数は安定しており、年齢だけで不利になることはありません。
重要なのは、年齢ではなく、これまで培ってきたキャリアや人柄、仕事への意欲です。
これまでの経験やスキルを適切にアピールできれば、どの年齢層でも十分に転職を実現できます。
自身の強みや希望に合った職場を見つけ、それをしっかりと伝えることが、転職成功の鍵となります。
ドラッグストア
ドラッグストアでの勤務は、30〜40代の薬剤師にとっては、これまで培ってきた経験を活かしてキャリアの幅を広げられる場として注目されています。
近年では調剤業務を行う店舗も増えており、調剤とOTC医薬品の販売の双方に対応できる薬剤師が重宝されるようになっています。
また、店舗運営やマネジメント、スタッフ育成、売り場づくりなど、多岐にわたる業務経験を積める点も大きな魅力です。
こうした多様な経験を通じて、「将来的に管理職を目指したい」「幅広いスキルを身につけたい」というキャリアビジョンを実現しやすい環境とも言えるでしょう。
ファルマスタッフの動向では、ドラッグストアへの転職は20代後半~30代を中心に増加傾向にあり、多くの薬剤師が活躍しています。また、30代後半から40代についても、転職者が安定しており、年齢だけで不利になることはありません。
これまでの経験やマネジメント力を活かしながら、新しい環境でステップアップを目指したい方にとって、ドラッグストアはキャリアの可能性を広げられる選択肢の一つです。
病院・クリニック
薬剤師としてより高度なチーム医療に関わりたい、専門性を磨きたいと考える方にとって、病院は魅力ある職場の一つです。
ただし、配属先によって求められる役割や働き方が大きく異なるため、自身のキャリアやライフスタイルに合った職場選びが欠かせません。
例えば、総合病院では夜勤や多職種連携が求められることが多いため、比較的経験年数の浅い若手層も多く採用されています。
一方で、慢性期病院や療養型病院、専門病院などでは、調剤薬局やドラッグストアで培った多様な処方経験、対人対応力、マネジメント経験といったベテランならではの強みが歓迎される場面も多くあります。
ファルマスタッフの動向では、病院への転職は幅広い年代で実現しています。
子育て期と重なることの多い30代は、夜勤や不規則なシフトが課題となる場合があるため、より柔軟な働き方を求めて調剤薬局や企業を選ぶ傾向が見られますが、多様な年代で転職が叶っていることから、病院への転職において年齢が障壁になるわけではありません。
病院側が即戦力として期待するのは、年齢ではなく「現場への適応力」「自律的な姿勢」「継続的に学ぶ意欲」などです。
そのため、これまでのキャリアで培ってきたスキルをどう活かせるかを整理し、志望先の医療体制や方針とマッチするかをしっかりと見極めることが重要となります。
企業・その他
薬剤師として、製薬会社やCROなどの企業に転職することは決して珍しくありませんが、調剤薬局やドラッグストアに比べて求人数が限られており、競争率は高めです。
ファルマスタッフの動向では企業への転職は幅広い年代の薬剤師が実現しています。
たとえば、これまでの実務経験、対人対応力、そして医療現場への深い理解は、どの年代においても企業から即戦力として高く評価される強みとなります。
調剤や服薬指導で培った知識と対応力は、MRや学術職、CRCなどの職種で活かされることが多く、また、病院勤務経験者であれば、CRAやメディカルアフェアーズといったより専門性の高い分野でも評価されやすくなります。
これまでの経験を企業が求める価値として言語化し、専門性と柔軟性を兼ね備えた人材であることをアピールできれば、年齢に関わらず貴重な存在として迎えられるでしょう。
【年代別】薬剤師の転職で活かせる強みと知っておきたいポイント

薬剤師としてキャリアを重ねる中で、「年齢が上がるにつれて転職の選択肢が狭まるのではないか?」「今の自分の年齢で、本当に希望通りの転職ができるのか?」といった不安を抱く方も少なくないでしょう。
確かに、薬剤師の転職では、年代によって求められるものが変わります。
若手の20代~30代前半はポテンシャルや柔軟性が評価されやすい傾向にありますが、40代以降はこれまでの豊富な経験や専門性がより重視されます。
しかし、それぞれの年代に合わせた「強み」と「戦略」を知ることで、転職を成功させる可能性は十分にあります。
ここでは、薬剤師における年代別の転職で活かせるポイントをご紹介します。
20代|転職理由がポイントになる年代
20代薬剤師の転職は、タイミングや理由によって対策の仕方が大きく変わってきます。
例えば新卒1~2年目で退職した場合でも、早期に転職を考えた理由や背景を自分の言葉でしっかりと説明できれば次のチャンスにつながります。
志望動機やキャリア観との整合性を持って語れるよう、あらかじめ整理しておきましょう。
一方で、3年目以降になると、現場で一定の経験を積んだ「若手の即戦力」として見られるようになります。早ければ管理薬剤師やかかりつけ薬剤師として活躍している方もおり、こうした実績は転職市場でも高く評価されます。
認定薬剤師資格の取得や、地域医療への貢献意欲などを積極的にアピールできれば、同年代の転職希望者との差別化にもつながるでしょう。
20代はポテンシャルが評価されやすく、見られているのは「これまで何をしてきたか」だけではなく、「これからどう成長していきたいか」という姿勢です。
転職理由や今後の展望を明確にし、誠実に伝えることが重要となります。
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30代|即戦力として評価されやすい年代
30代はこれまでの経験やスキルが豊富になり、転職市場でも高く評価されやすい年代と言えます。実務経験を積んだ即戦力として期待されやすく、キャリアアップや待遇改善のチャンスが広がるタイミングです。
マネジメント経験や管理薬剤師の実績がある方は、年収600万円以上といった好条件の求人に出会える可能性もあります。
ただし、同じ30代でも前半と後半では求められる役割に変化が出てきます。例えば、30代後半では「現場が回せる」ことに加え、後輩育成や店舗運営、加算の取得による売上貢献など、マネジメント視点を持って行動できる人材がより高く評価される傾向にあります。
この時期に転職を考えるのであれば、自身のこれまでの経験を「どのように職場に還元できるか」という視点で整理し、職場運営に貢献できる意欲や視座を伝えることが重要です。
現場経験にとどまらず、育成・運営面でのスキルも意識的に積み上げていくことで、より良いポジションや待遇を引き寄せやすくなります。
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40代|求める待遇や経験によって差が出る年代
40代の薬剤師の転職では、これまでに培ってきた経験やスキルが、より重要視される年代です。この年代の転職を成功させるには、自身の強みをどう活かせるかによって、キャリアを有利に進めることができます。
特にこの年代では、単に現場で働くスタッフとしてだけではなく、店舗運営やチームマネジメント、エリア統括といった役割を期待されるケースが増えるため、それに見合うマネジメント経験や実績があるかどうかは、採用における重要なポイントです。
これまでのキャリアで管理薬剤師や教育担当、エリアマネージャーとしての経験がある方は、その実績をもとに好待遇でのオファーを受けられる可能性も十分にあります。
また、「がん治療専門薬剤師」や「薬物療法認定薬剤師」などの高度な専門資格を保有している場合も、大きな強みとなるでしょう。
大切なのは、自身のキャリアを客観的に見つめ直し、培ってきた経験が転職先でどう貢献できるかを明確にすることです。
40代は即戦力としての期待値が高いからこそ、「これまで何をしてきたか」「今後どう組織に貢献できるか」を明確に伝えることがポイントとなります。
50代以上|豊富な経験をどう活かすかが重要な年代
50代以上の薬剤師の転職は、これまでのキャリアで培った豊富な実務経験、深い現場理解、そして優れた対人対応力が大きな強みとなります。
店舗運営の補佐、若手薬剤師の育成、教育係など、これまでの経験を活かせるポジションは多くあります。
大切なのは、自身の経験を「価値」として言語化し、新しい職場でどのような役割を担い、貢献できるかを明確に伝えることです。
現場への深い理解と高い協調性、円滑なコミュニケーション能力を示すことで、年齢に関わらず必要とされる存在になれるでしょう。
年齢に関わらず転職を成功させるためのポイント

転職市場では、年代やキャリアによって求められるスキルや経験が変わることがあります。キャリアを重ねてきた方の中には、「今の年齢で転職はできるだろうか」「希望の条件で本当に採用されるのか」と不安を感じている方も多いでしょう。
しかし、豊富な実務経験やスキルがあるからこそ、即戦力として評価されやすく、キャリアアップや待遇改善のチャンスが広がります。ここでは「今の自分だからこそできること」に焦点を当て、転職成功のために意識すべきポイントをご紹介します。
転職動機・退職理由を明確にする
まずは、自分のこれまでをしっかりと振り返ることから始めましょう。
「なぜ転職したいのか」「どんな薬剤師として働いていきたいのか」。
この2つを自分の言葉で説明できるようにすることで、書類作成や面接の説得力が格段にアップします。
そのためにも、自身の実績やスキルの"棚卸し"を行いましょう。
これまでどんな経験を積み、どんな成果を出してきたのか、どんな場面で評価されたかといった自身の実績を振り返ることで、転職先にどのように貢献できるかを明確に伝えることができます。
過去の職務経歴書を見直したり、第三者からフィードバックを得たりすることで、自分の強みや価値を客観的に捉えるヒントが見つかります。
志望先を「自分に合うか」だけではなく「共感できるか」でも選ぶ
転職活動では、自分の希望条件に合った職場を探すだけでなく、志望する企業や薬局のビジョンや理念にも注目しましょう。
「この薬局が目指す地域医療に、自分はどう貢献できるか」「共感できる価値観に、どのような行動で応えられるか」といった視点で企業と自分を照らし合わせることで、相手にも伝わる熱意と説得力を持った志望理由を語れるようになります。
待遇改善やキャリアアップだけでなく、「貢献したい」という姿勢を持てるかどうかが、企業からの信頼にもつながります。
また、条件に固執しすぎない柔軟な視点を持つことも大切です。
視野を少し広げてみることで、自分に合った働き方や新たな可能性が見えてくる場合もあります。
変化する薬剤師の役割に合わせてスキルを磨く
近年、薬剤師に求められる役割は「対物業務」から「対人業務」、さらに「対地域」へと変化しています。これまでは患者さまが病院に通って医療を受けるのが一般的でしたが、今後は患者さまの暮らす地域の薬局やクリニックで、健康支援が完結する時代へとシフトしています。
こうした流れの中で、在宅医療やかかりつけ薬剤師のニーズが高まり、「地域に根ざした薬局づくり」に関わる薬剤師像が求められています。
これからの時代に求められる薬剤師像に近づくために、
- かかりつけ薬剤師の経験を積む
- 在宅訪問の実績をつくる
- 認定薬剤師などの資格取得に挑戦する
といった取り組みを意識することで、今後の市場価値を高めることができるでしょう。
転職コンサルタントを活用する
薬剤師の転職において、自身の専門性やキャリアプランに合った職場を一人で見つけるのは難しいと感じるかもしれません。そこで、転職コンサルタントを活用することも一つの有効な方法です。
転職コンサルタントに相談する際は、薬局業界や病院、企業に関する情報が豊富で、転職先の提案や、書類作成、面接のアドバイスなど多方面でサポートしてくれる、医療業界や薬剤師に特化したサービスを選ぶのがおすすめです。
転職コンサルタントに相談すれば、自分だけでは得られない情報や客観的なアドバイスを得ることができます。
これにより、あなたの強みが活かせる場所や、本当に希望する条件に合った職場を効率的に見つけることができるでしょう。
薬剤師の転職は年齢に関わらずチャンスあり!ポイントを押さえて成功させよう

薬剤師の転職は、年齢に関わらずチャンスは十分にあります。
20代や30代は将来性や実績が評価される一方、40代以降は経験に加えて専門性やマネジメント力など、より高度なスキルが求められることを理解して転職活動を進めることが大切です。
希望条件を柔軟に見直したり、雇用形態を視野に入れたりすることで、新たな道が開けることもあります。
また、他の転職希望者との差をつけたい方は、転職支援サービスの利用がおすすめです。
特に、医療業界や薬剤師の転職市場に詳しいコンサルタントに相談することで、一人では得られない情報や客観的なアドバイスを得ることができます。
ファルマスタッフでは、キャリアプランに関するご相談も無料で行っておりますので、ぜひお気軽にコンサルタント面談をご予約ください。
ファルマラボ編集部
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