服薬指導に活かす医薬品情報

サムスカ錠

Q

何のお薬?用法・用量は?

A

1.「ループ利尿薬等の他の利尿薬で効果不十分な心不全における体液貯留」

1日1回15mgを経口投与します。


2.「ループ利尿薬等の他の利尿薬で効果不十分な肝硬変における体液貯留」

1日1回7.5mgを経口投与します。


3.「腎容積が既に増大しており、かつ、腎容積の増大速度が速い常染色体優性多発性のう胞腎の進行抑制」

開始用量として1日2回60mgを1週間以上経口投与します。その後1日90mg(朝60mg、夕方30mg)、1日120mg(朝90mg、夕方30mg)と1週間以上の間隔を空けて段階的に増量します。適宜増減しますが、最高用量は1日120mgまでです。

Q

使用上の注意点は?

A

Na排泄が増加しないことから、他の利尿薬と併用して使用します。過剰な利尿に伴う血清Na濃度上昇、高Na血症がみられる場合があり、服用中は血清Na濃度を適宜測定する必要があります。また、水利尿作用により循環血漿量の減少を来し、血清K濃度を上昇させ、心室細動、心室頻拍を誘発するおそれがあるので、投与中は血清K濃度も測定します。投与初期から重篤な肝機能障害があらわれることがあるため、投与開始前に肝機能検査を実施し、投与開始2週間は頻回に肝機能検査を行います。


なお、夜間の排尿を避けるため、午前中に投与することが望ましい薬剤です。

Q

作用機序は?

A

バソプレシンV2-受容体拮抗作用を有する薬剤であり、腎集合管でのバソプレシンによる水再吸収を阻害することにより、選択的に水を排泄し、電解質排泄の増加を伴わない利尿作用(水利尿作用)を示します。また、多発性のう胞腎においてはバソプレシンによる細胞内cAMPの上昇を抑制することにより、腎容積及び腎のう胞の増大を抑制します。

Q

注意すべき副作用は?

A

主な副作用は口渇、頻尿、血中尿酸値上昇等です。口渇、脱水等の症状があらわれた場合には、水分補給を行い、体重、血圧、脈拍数、尿量等を頻回に測定します。また、口渇感が持続する場合には、減量も考慮します。

Q

警告・禁忌は?

A

急激な水利尿から脱水症状や高Na血症を来すおそれがあること等から、入院下で投与を開始又は再開します。また、適切な水分補給の必要性について指導し、投与開始日又は再開日、月1回は血清Na濃度を測定します。


口渇を感じない又は水分摂取が困難な患者さま、高Na血症、無尿、適切な水分補給が困難な肝性脳症の患者さま、重篤な腎機能障害、慢性肝炎・薬剤性肝機能障害等の肝機能障害のある患者さま、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には禁忌となっています。

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派遣薬剤師のススメP
掲載日: 2020/04/16
※医薬品情報は掲載日時点の情報となります