服薬指導に活かす医薬品情報

パルモディア錠

Q

何のお薬?処方目的は?

A

適応症は「高脂血症(家族性を含む)」です。LDL-コレステロールのみが高い高脂血症に対しては、第一選択薬として使用できません。また、あらかじめ高脂血症治療の基本である食事療法を行い、更に運動療法や、高血圧・喫煙等の虚血性心疾患のリスクファクターの軽減も十分考慮します。

Q

用法・用量は?

A

通常、成人には1回0.1mgを1日2回朝夕に経口投与します。年齢、症状に応じて適宜増減しますが、最大用量は1回0.2mgを1日2回までです。

Q

作用機序は?

A

PPARαに結合し、標的遺伝子の発現を調節することにより、血漿トリグリセライド(TG)濃度の低下、HDL-コレステロールの増加等の作用を示します。

Q

注意すべき副作用は?

A

主な副作用は、胆石症、糖尿病(悪化を含む)、発疹・そう痒、肝機能異常です。
重大な副作用に、横紋筋融解症があり、筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれ、これに伴って急性腎不全等の重篤な腎障害があらわれることがあります。

Q

注意すべき患者さまは?

A

重篤な肝障害、Child-Pugh分類B又はCの肝硬変のある患者あるいは胆道閉塞のある患者、血清Cr値が2.5mg/dL以上又はCcrが40mL/min未満の腎機能障害のある患者、妊婦又は妊娠している可能性のある患者、胆石のある患者には禁忌です。
肝障害のある患者(Child-Pugh分類Aの肝硬変のある患者等)又は肝障害の既往歴のある患者に投与する場合には、必要に応じて本剤の減量を考慮します。
急激な腎機能の悪化を伴う横紋筋融解症があらわれることがあるので、投与にあたっては患者の腎機能を検査し、血清クレアチニン値が2.5mg/dL以上の場合には投与を中止し、1.5mg/dL以上2.5mg/dL未満の場合は低用量から投与を開始するか、投与間隔を延長して使用します。

他のフィブラート系薬剤との違いは?
フィブラート系薬剤は、肝臓等で発現している核内受容体のペルオキシソーム増殖剤活性化レセプターα(PPARα)に結合し、活性化します。PPARαの立体構造変化により、脂質代謝に関わる遺伝子群の発現が促され、TG加水分解の促進、脂肪酸のβ酸化の亢進、TG合成の抑制等が起こり、TG値の低下、HDL-コレステロール値の上昇が生じます。
PPARには3つのサブタイプ(α、β、γ)がありますが、ペマフィブラートは他のフィブラート系薬剤よりもPPARαへの選択性・活性が高く、選択的PPARαモジュレーター(SPPARMα)とも呼ばれています。そのため低用量で効果が期待される一方、副作用による肝機能検査値やクレアチニン上昇等の腎機能検査値の異常も起こしにくいとされています。また、胆汁排泄型(他のフィブラート系薬剤は腎排泄型)のため、腎機能の低下した患者にも比較的使いやすいとされています。

Q

相互作用は?

A

本剤は、主としてCYP2C8、CYP2C9、CYP3Aにより代謝されます。また、OATP1B1、OATP1B3の基質となります。そのため、シクロスポリン、リファンピシンは併用禁忌です。同様の理由により、クラリスロマイシン、HIVプロテアーゼ阻害剤、クロピドグレル、フルコナゾール、強いCYP3A誘導剤(カルバマゼピン、フェニトイン、セイヨウオトギリソウ等)との併用には注意が必要です。
コレスチラミン、コレスチミドは本剤を吸着し、吸収が低下するため、併用する場合は可能な限り投与間隔をあけます。
HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)と併用する場合、急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすいため注意が必要です。

横紋筋融解症
横紋筋融解症は、骨格筋の融解、壊死により、筋成分が血中へ流出した病態です。流出した大量のミオグロビンにより尿細管に負荷がかかり、急性腎不全を併発することがあります。服用開始後、数か月から2年程度の期間に発症することが多いです。
筋肉痛、しびれ、脱力感、赤褐色尿(ミオグロビン尿)等に注意するよう指導しましょう。


掲載日: 2022/04/14
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