外科的大動脈弁置換術後の抗血栓療法で使われる抗凝固薬はどれでしょうか?

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外科的大動脈弁置換術後の抗血栓療法で使われる抗凝固薬はどれでしょうか?

    動脈硬化により大動脈弁が硬く狭くなると、薬物治療では十分な改善が見込めないため、大動脈弁置換術を行う必要があります。

    人工弁に置き換えるこの手術には、主に外科的大動脈弁置換術(SAVR)経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)の二つの方法があります。どちらの手術を選ぶかは、患者さまの年齢や全身の状態などを踏まえて決定されます。

    主に若年層の患者さまに実施される外科的大動脈弁置換術(SAVR)では、生体弁と機械弁のいずれかの人工弁が使用され、それぞれ術後の薬物治療が異なります。

    機械弁を用いた場合、現在の標準的な治療薬はワーファリンです。一方、生体弁の場合は、従来はワーファリンが使われてきましたが、近年では患者さまの状態に応じてDOAC(直接経口抗凝固薬)が選択されることもあります。

    ワーファリンの投与期間は、生体弁の場合は術後3ヶ月で終了することがほとんどですが、機械弁の場合は生涯にわたる服用が必要です。PT-INRの目標値は、生体弁・機械弁ともに2.0~2.5が基本ですが、血栓塞栓症リスクの高い機械弁については、2.0~3.0が目標値となります。

    一方、主に80歳以上の患者さまに適用される経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)では、カテーテルを用いて生体弁に置換します。術後の薬物治療としては、通常6ヵ月間、バイアスピリンとクロピドグレルの併用投与(DAPT)を行い、その後はどちらか一方の単剤投与(SAPT)に切り替えて生涯にわたり服用します。

    処方監査・服薬指導のPOINT

    ワーファリンによる治療が開始された時は、まずは適応疾患を確認しましょう。

    特に、外科的大動脈弁置換術(SAVR)で機械弁または生体弁が留置された場合は、抗凝固薬の投与期間が異なるため注意が必要です。(なお、例外的にワーファリンの長期投与が正当化されるケースもあります。)

    生体弁が使用されているにもかかわらず、術後3ヶ月を過ぎてもワーファリンが処方されている場合は、必ず医師に投与期間について確認しましょう。

    投与が延長される場合には、何らかの合併症や血栓リスク(例:心房細動、過去に血栓症の既往など)が存在する可能性があり、その理由を医師に確認するのが妥当です。

    濱本 幸広(はまもと・ゆきひろ)さん
    京都薬科大学卒、薬剤師。
    調剤併設ドラッグストア、調剤薬局、派遣薬剤師など、数多くの経験をしながら処方鑑査の腕を磨く。
    2022年10月、4分類法を活用した処方鑑査の指南書『達人の処方鑑査術』を出版、好評発売中。
    ▼運営サイト
    https://kusuri-shidousen.com
    掲載日: 2025/08/05
    ※医薬品情報は掲載日時点の情報となります

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