服薬指導に活かす医薬品情報

バクタ配合錠

Q

何のお薬?処方目的は?

A

適応菌種はスルファメトキサゾール/トリメトプリムに感性の腸球菌属、大腸菌、赤痢菌、チフス菌、パラチフス菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア・レットゲリ、インフルエンザ菌及びニューモシスチス・イロベチーです。2剤配合により抗菌力を高めています。


適応症は表1の通りで、それぞれ用法が異なります。ニューモシスチス肺炎の発症抑制に用いる場合は「適宜増減」の記載はありませんので、添付文書の用法に則っているか確認します。

効能・効果 投与量(成人) 投与量(小児)
一般感染症

●肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染

●複雑性膀胱炎、腎盂腎炎

●感染症腸炎、腸チフス、パラチフス
4錠/日

分2 適宜増減
ニューモシスチス肺炎 治療9~12錠/日

分3~4 適宜増減
15~20mg/kg/日

分3~4 適宜増減
発症抑制1~2錠/日

分1 連日又は週3回
4~8mg/kg/日

分2 連日又は週3回

Q

使用上の注意点は?

A

本剤は、血液障害、ショック等の重篤な副作用が起こることがあるため、他剤耐性菌による上記適応症において、他剤が無効又は使用できない場合に投与します。ニューキノロン系抗菌剤で耐性菌ができた場合や、ペニシリンアレルギー例等でも有効とされています。ニューモシスチス肺炎の発症抑制は、抗がん剤やステロイド、抗リウマチ薬が投与されていて易感染性状態、HIVや移植後等で発症リスクを有し、予防が必要と判断される場合に投与します。


本剤は主に腎臓から排泄されるため、腎障害のある患者さまの場合、クレアチニンクリアランス(Ccr:mL/min)15以上30以下では通常の1/2量、Ccr15未満では投与しないことが望ましいです(推奨用量)。

Q

注意すべき副作用は?

A

重大な副作用に、再生不良性貧血や血栓性血小板減少性紫斑病等14項目の記載があり、警告も出ています。投与開始に先立ち、主な副作用について患者さまに説明し、血液障害(貧血、出血傾向等)、発疹等の皮膚の異常が認められたら、速やかに主治医に連絡するよう指導しましょう。


また、市販後における安全性評価では10.58%に臨床検査値の異常変動を含む副作用が認められています。本剤投与中は、副作用の早期発見のため、必要に応じ臨床検査(血液検査、肝機能検査、腎機能検査、血中電解質等)を行うこととされているため、これらの検査値についての情報収集も行いましょう。

Q

禁忌、原則禁忌、慎重投与について

A

本剤の成分又はサルファ剤に対し過敏症の既往歴のある患者、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人、低出生体重児、新生児、グルコース-6-リン酸脱水素酵素欠乏患者には禁忌です。


また、血液障害又はその既往歴のある患者、本人又は両親、兄弟が気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギー症状を起こしやすい体質を有する患者又は他の薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者には原則禁忌となっており、特に必要とする場合には慎重に投与します。


また、肝障害、腎障害のある患者、高齢者、葉酸欠乏又は代謝異常のある患者(既往に胃の摘出術を受けている患者、他の葉酸代謝拮抗剤を投与されている患者、分娩後、先天性葉酸代謝異常症等)には慎重投与となっています。

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派遣薬剤師のススメP
掲載日: 2019/06/27
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