服薬指導に活かす医薬品情報

ウトロゲスタン膣用カプセル200mg(一般名:プロゲステロン)

ここがポイント!

  • ⽣殖補充療法(ART)では、ホルモンを調整しながら治療を⾏うため⻩体機能不全が⽣じる
  • 受精卵(胚)が着床し、妊娠が成⽴・維持するために⻩体補充療法は必須
  • 少量の出⾎、油性基剤による下着の汚れなどへの対処法について、患者さまに合わせた指導を
  • Q

    【何のお薬?処方目的は?】

    A

    適応症は「生殖補助医療における黄体補充」。 ルティナス膣錠100mgに次ぐ国内2番目の膣製剤として臨床使用され、不妊治療に用いられる標準的治療薬として2022年4月に薬価収載されました。プロゲステロンは生体内では排卵後の卵巣黄体や妊娠中には胎盤からも分泌され、胚が着床しやすい状態にします。胚が子宮内膜に着床した後は、内膜に脱落膜を形成させ、出産まで妊娠を維持させる生体内ホルモンです。子宮に効果的に送達できる膣剤で妊娠率が向上することが確認されています。200mgの1規格、長径14.5mm、短径8.6mmの軟カプセルです。2021年、添加剤はラッカセイ(ピーナッツ)油からヒマワリ油に変更されています。

    Q

    【用法・用量は?】

    A

    通常1回200mg(1カプセル)を1日3回、胚移植2~7日前より経膣投与します。妊娠が確認できた場合は、胚移植後9週(妊娠11週)まで投与を継続します。
    *胚移植:生殖補助医療により得られた胚を、子宮に移植する方法

    Q

    【使用上の注意点、保管方法は?】

    A

    薬は膣内で自然に溶け出すため、下着が汚れる場合があります。気になる場合はおりものシートなどを使用します。カプセルの殻のみが出てきた場合は挿入し直す必要はありませんが、中身の入ったカプセルが丸ごと出てきた場合は挿入し直す必要があります。使用中に膣から少量の出血がみられることはあります。必ずしも胚移植が失敗したという訳ではありませんが、医師に相談するよう伝えます。付属のアルミチャック袋にいれ、光と湿気を避けて室温(1~30℃)で保管します。


    Q

    【主な副作用は?】

    A

    卵巣過剰刺激症候群が2.5%、外陰膣そう痒症、不正子宮出血、性器出血(各1.9%)が報告されています。重大な副作用として、血栓症があります。血栓症は本剤での発症報告はありませんが、性ホルモン製剤の血液凝固・線溶系に対する影響から種々の血栓症等が報告されているため注意します。


    (2024年4月12日時点)

    掲載日: 2024/12/20
    ※医薬品情報は掲載日時点の情報となります