心機能が低下したHFrEFを合併した心房細動の患者さまにべラパミルを投与すべきではありません。これは、心不全の病態を理解することで明らかになります。 左室駆出率(LVEF)による心不全の分類によると、LVEF 40%未満をHFrEF(ヘフレフ)、40%以上50%未満をHFmrEF(エムレフ)、50%以上をHFpEF(ヘフペフ)と定義しています。 べラパミルは心房細動による心拍数の乱れを調節するレートコントロールとして使われますが、心収縮力を抑える陰性変力作用をもつため、収縮機能が低下したHFrEFの患者さまに使用すると、心不全がさらに悪化する恐れがあります。 同じ理由で、非ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬であるジルチアゼムも心房細動を合併したHFrEFの患者さまに投与すべきではありません。 ▼参考資料はコチラ 一部のⅠ群抗不整脈薬(ジソピラミド、シベンゾリン、ピルシカイニド、フレカイニド)も陰性変力作用により、心機能がさらに低下するリスクがあるため、べラパミルと同様の理由でHFrEFの患者さまに使用すべきではありません。 心房細動を合併したHFrEFの患者さまでは、リズムコントロールにアミオダロンが用いられることがあります。なお、心房細動は血栓塞栓症のリスク因子となるため、抗凝固療法についても検討が必要です。 処方監査・服薬指導のPOINT心不全は患者さまの病態を正確に把握することが重要ですが、併用薬からHFrEFかどうか判断できません。 陰性変力作用が強い薬が心不全の患者さまに処方された場合は、病態によっては心不全を悪化させる恐れがあります。 判断に迷う場合、心機能が低下していないか医師に確認すると良いでしょう。 |
Q |
心機能が低下した心房細動の患者さまに投与すべきではない薬はどれでしょうか? |
掲載日: 2025/04/30
※医薬品情報は掲載日時点の情報となります
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