アカシジアに適応外処方として使用されることがある薬はどれでしょうか?

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アカシジアに適応外処方として使用されることがある薬はどれでしょうか?

    プロプラノロールは、錐体外路症状の一つであるアカシジアの治療に適応外で用いられることがあります。アカシジアは「じっとしていられない」「足がむずむずする」などの症状を特徴としており、一部の抗精神病薬でよくみられる副作用です

    プロプラノロールがアカシジアに有効とされる理由は、その脂溶性の高さと中枢移行性にあると考えられています。

    プロプラノロールは脂溶性が高いため血液脳関門を通過しやすく、中枢神経系に移行してβ受容体を遮断し、交感神経系の過活動を抑制することで、アカシジアの不快な症状を改善すると考えられています。(ただし、その効果を示す正確な作用機序は、まだ完全には解明されていません)

    他のβ遮断薬(アテノロール、メトプロロール、ビソプロロール)は中枢移行性が低いため、アカシジアの症状緩和には一般的に用いられていません。

    アカシジアの治療は、原因となる薬剤の減量や変更が重要ですが、患者さまの状態によっては薬物治療も行われます。プロプラノロールが比較的よく用いられる薬剤の一つですが、禁忌などで使用できない場合には、抗コリン薬(ビペリデン、トリヘキシフェニジル)や、場合によってはベンゾジアゼピン系薬(ジアゼパム、クロナゼパム)が用いられることもあります。

    処方監査・服薬指導のPOINT

    抗精神病薬を服用中の患者さまにプロプラノロールが処方された場合、アカシジアなどの錐体外路症状の治療を目的としている可能性があります。

    特に注意が必要なのは、気管支喘息、うっ血性心不全、冠攣縮性狭心症のある患者さまや、リザトリプタンを服用中の患者さまです。これらの方には禁忌となるため、ご注意ください。

    また、服用中は血圧低下や徐脈、めまい、冷感、易疲労感などの副作用にも注意するよう指導しましょう。

    濱本 幸広(はまもと・ゆきひろ)さん
    京都薬科大学卒、薬剤師。
    調剤併設ドラッグストア、調剤薬局、派遣薬剤師など、数多くの経験をしながら処方鑑査の腕を磨く。
    2022年10月、4分類法を活用した処方鑑査の指南書『達人の処方鑑査術』を出版、好評発売中。
    ▼運営サイト
    https://kusuri-shidousen.com
    掲載日: 2025/08/27
    ※医薬品情報は掲載日時点の情報となります

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